▼本日は、上がり3ハロンについて、当研究所の見解を書いてみたいと思います。
まず、結論から書いていきます↓
・上がり3ハロンとは、最後の600mのタイムのこと。
・上がり3ハロンを見れば、そのレースがどんなレースだったかがわかる。
・上がり3ハロンのタイムが速くなるケースは、①スローペース ②高速馬場
・逆に、上がりがかかるケースは、①ハイペース ②馬場が悪かった
・これらの特徴を頭に入れておくと、上がり3ハロンを見るだけで、そのレースの展開が見えてくる。
ではこの根拠について、具体的に解説していきましょう。
▼上がり3ハロンとは、競馬のレースでの最後の600mのタイムのことです。
1ハロンが200mなので、3ハロンは600mとなります。
▼競馬中継などを見ていると、レース後に必ず「上がり3ハロンは、34.2~!!」という感じで実況されますね。
これはなぜかというと、上がり3ハロンを見れば、そのレースがどんなレースだったかわかるからです。
▼例えば、上がり3ハロンが、33.4秒だったとする。
これはいわゆる、「上がりの競馬」です。
道中はゆっくり走って、最後の600mでの勝負になっていると、わかるわけ。
▼なので、「上がり33秒台」のレースは、瞬発力勝負であり、高速馬場であると。
だからそのレースで上位に来た馬は、瞬発力勝負に適性があったと言える。
逆に、そのレースで負けた馬は、たまたま瞬発力勝負が向かなかっただけで、弱かったわけではないとも言える。
▼逆に、上がり3ハロンが36.5秒だったとする。
これは、かなり上がりがかかっています。
ということは、道中がハイペースだったか、馬場状態が悪かったと考えられる。
▼だからそのレースで上位に来た馬は、タフなレースで頑張れるスタミナがある馬と言える。
あるいは、ハイペースの恩恵で上位に来た、追い込み馬かもしれない。
もしくは、悪化した馬場を苦にしないタイプだったかもしれない。
▼このように、上がり3ハロンを見れば、そのレースがどんなレースだったかわかる。
そして、上位に来た馬がどんな馬だったかもわかる。
あるいは、負けた馬がなぜ負けたのかがわかる。
▼という事は、上がり3ハロンを見て、そのレースの内容を覚えておけば、次のレースに活用できるということになります。
競馬で勝っている人というのは、このような地味な作業を繰り返している人が多いわけです。
▼ただなんとなくレースを見て、なんとなく上がり3ハロンを見ていては、いつまでたっても競馬で勝つことはできません。
まぁ、上がり3ハロンを知らなくてもプラス収支にはできますが、知っていた方が有利なのは間違いない。
▼今まで、なんとなく上がり3ハロンを見ていた人。
今日のこの記事を見て、「へ~」とか思ったでしょ?
その気持ちを忘れず、1つ1つのレースをしっかり見て、記憶&メモしておくことが大切です。
なんとなくレースを見ていたら、なんとなく馬券でも負けてしまう。
しっかりレースを見ておけば、しっかり勝てるようになるわけです。
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上がり3ハロンから見えてくること
▼上がり3ハロンについての考察を続けます。
ここでは、具体的なレースを使って、より実践的な内容にしてみたいと思います。
▼例えば、2019年のマイラーズカップ。
勝ったのは、ダノンプレミアム。
レースの上がりは、なんと「32.3秒」
これが何を意味しているかというと、「道中が超スローペースだった」のと「高速馬場だった」という2点です。
▼別にこのレースに出走していた馬が、特別に末脚が切れるタイプだった訳では無い。
ここに出てきた馬は、ダノンプレミアム以外は特にレベルの高い馬ではなく、むしろG2にしては、やや低調なメンバーでした。
▼それでも、ここに出てきた10頭は、すべての馬が速い上がりの脚を使っている。
という事は、馬の強さではなく、「ペースと馬場状態」によって、この上がり3ハロンが記録されたと考えるのが妥当です。
▼パソコンの競馬ソフトを使って、各馬のラップタイムを見ればわかりますが、このマイラーズカップでは、すべての馬が後半に加速しています。
つまり、全馬が前半に楽をしていた。
その結果、余力十分に最後の直線を迎え、この高速の上がり3ハロンに繋がったと考えられます。
▼レースとしては、前に行った馬が、ほぼそのままの順位でゴール。面白くないレース。
差し馬は、出番なしでした。
これはある意味当然で、道中で全馬がゆっくり走っているわけですから、先行馬がバテないわけです。
だから前残りになった。
▼このような決着になった場合、その着順をそのまま能力として信頼することはできません。
これはいわゆる、「展開が向いた」という状態。
ここで先行した馬は、スローペースと高速馬場で、粘り込みやすい条件が揃っていたわけです。
▼なので、このようなレースを見た場合は、次走を考えるときに、先行した馬は少し割引き。
逆に、後方から末脚不発だった馬は、次走以降での巻き返しに期待。
このように考えておくと、長期回収率が上がりやすくなります。
▼多くの競馬ファンは、この逆をやってしまう。
つまり、着順をそのまま信頼してしまうわけです。
たまたま、スローペースと高速馬場の恩恵で粘り込んだだけかもしれないのに、重賞で1~3着になったというだけで、過剰に評価を上げてしまうわけです。
これをやってしまうと、なかなか馬券収支はプラスにならないので、要注意です。
▼▼では次のレースを見てみましょう。
2019年の神戸新聞杯。
勝ったのはサートゥルナーリア。上がりはなんと、「32.3秒」でした。
▼サートゥルナーリアがすごいのは、この上がり3ハロンを、「4角先頭で」出したことです。
4角先頭とは、4コーナーから直線を向く間に、早めに先頭に立つことです。
一番先頭を走っている馬が、上がり最速だと、どうなりますか?
そう。後ろの馬はまったく追いつくことができないわけです。
▼結果、サートゥルナーリアは、3馬身差もつけてこのレースを勝ってしまいました。
これは当然なんです。
一番前にいる馬が、上がり3ハロン最速なら、絶対に勝つわけですから。
▼通常は、前に行った馬の上がり3ハロンは、差し馬の上がり3ハロンより、遅くなります。
なぜかというと、後ろにいる馬の方がスタミナを温存できるので、最後の600メートルのスピードが速くなるからです。
▼ではなぜ、この神戸新聞杯では、サートゥルナーリアは先頭から、上がり最速のタイムを出せたのか?
それは、「道中のペースが、極端にスローペースだったから」です。
▼このレースは、全部で8頭しか出走しておらず、少頭数のレースになりました。
少頭数で長距離のレースになると、高確率でスローペースになります。
このレースも例外ではなく、道中のラップは、13秒台を連発していました。これは遅い。
▼簡単に言えば、道中はゆっくり走って、最後の600mだけ加速する。そんなレースだったわけです。
なので、先行馬も差し馬も、脚質は関係なく、すべての馬のスタミナが温存されていたわけです。
こうなってくると、差し馬の上がりが速いわけではなく、先行馬でも上がりが速くなります。
すべての馬がゆっくり走っているため、位置取りは関係なくなってしまうんですね。
▼その結果、1~3着馬の上がり3ハロンは、下記の通りとなりました↓
1着サートゥルナーリア(32.3)
2着ヴェロックス(32.5)
3着ワールドプレミア(32.3)
はい。
なんと、上位3頭すべて、上がり32秒台です。
いかに道中がスローペースだったかわかります。
▼これだけスローペースになると、瞬発力だけで勝ち負けが決まってしまうので、次走以降の判断が難しくなります。
このようなレースで上位に来た馬でも、次走以降でスタミナが要求されるようなタフなレースになると、ころっと負けてしまうことがあるからです。
先ほど書いた、ダノンプレミアムも、安田記念ではあっさりと負けてしまいました。
瞬発力勝負のレースは、レースレベルの評価が難しいわけですね。
▼▼では次の具体的なレースを見てみましょう。
【七夕賞2021年】
1着 トーラスジェミニ(2番人気)37.0
2着 ロザムール(7番人気)37.1
3着 ショウナンバルディ(9番人気)36.7
はい。
このレースは、先ほどまでとは逆に、「上がりがかかるレース」でした。
▼勝ったトーラスジェミニの上がりは、37.0秒。
重賞の芝2000mとしては、かなり遅い上がり3ハロンになりました。
これはなぜか?
▼理由は、「ハイペースだった」「稍重だった」「馬場が悪かった」という事になります。
まず、このレースのペースは、稍重の馬場状態を考えると、早めのペースになりました。
ラップタイムを見ても、前半から速いペースで飛ばし、中盤~後半もラップタイムが落ちていません。
つまり、最初から最後まで、平均的に速いスピードで走り続けたレースと言えます。
▼先ほど見た2つのレースは、前半をゆっくり走って、後半に全速力で走るというパターンでした。
だから上がり3ハロンが速かった。
しかし2021年の七夕賞は、前半から速いペースで飛ばして、後半は我慢比べというレースだったので、必然的に上がりが遅くなるわけです。
最後は、全馬バテバテなので、後半のスピードがないわけですね。
▼このようなレースは、タフな消耗戦、持久力勝負と言うことができます。
なのでこの場合、スピードの持続力があるタイプや、スタミナがあるタイプが上位に来ることになります。
▼さらに、結果を見ると、2番手追走のトーラスジェミニが勝ち、逃げたロザムールが2着でした。
いわゆる「行った行ったの前残り」です。
ハイペースなのに、なぜ前残りなのか?
▼それは、逃げ・先行馬がハイペースで飛ばしたことで、後続の馬も速いスピードで追いかけなければならず、脚を溜めることが出来なかったからです。
ここが競馬の面白いところで、ハイペースだから、必ず差しが決まるわけでは無い。
ハイペースでも、「後続になし崩し的に脚を使わせる」という展開になると、今回のように、前残りになるわけです。
▼ハイペースで差しが決まるパターンは、3~4コーナーで後続が早めに動くレースですね。
後続が早めにマクると、先行馬は厳しくなります。
しかし、ハイペースでも、後続の仕掛けが遅ければ、差し馬は力が残っていないので、前残りになるわけです。
そしてこのパターンの時、上がり3ハロンは遅くなる。
これを頭に入れておけば、上がり3ハロンから、そのレースがどういうレースだったかをイメージすることができますね。
▼▼では、次のケーススタディを見てみましょう。
【阪急杯2022年】
1着 ダイアトニック(1番人気)
2着 トゥラヴェスーラ(9番人気)
3着 サンライズオネスト(6番人気)
馬連3090円
三連複10950円
はい。
このレースは、馬場状態が良く、速い上がりの勝負になりそうな雰囲気でした。
このような場合は、「前走の上がり3ハロン」を参考にしながら馬券を組み立てていくと、的中に近づいていきます。
▼まず、1番人気のダイアトニックからチェックしていきましょう。
ダイアトニックは、近走2ケタ着順のスランプから、岩田騎手に乗り替わった京都金杯で、12番人気4着と好走。
元々は、スプリント界のトップホースだった馬なので、調子が戻っていれば好勝負になる。
前走の京都金杯は、上がり3ハロンが34.4秒で、メンバー中2位。
高速馬場の阪急杯でも、十分勝負になるとみて、ダイアトニックを本命◎とします。
ちなみにこのレース、「マツリダ予想」では、◎⇒○⇒▲のパーフェクト予想だったので、マツリダ会員の方々は、簡単に馬券を的中できたと思います。
もちろん私も的中でした。
▼では次に、相手ヒモ馬を絞り込んでいきましょう。
ここでも、上がり3ハロンを活用して、ヒモを取捨選択していきます。
ヒモの人気は、いつも当ブログで書いているように、1~9番人気を対象とします。
▼1番人気は軸馬なので、2番人気からチェックしていきます。
2~9番人気の中で、前走の上がり3ハロンが3位以内の馬は、下記の通りです。
2番人気グレイイングリーン
3番人気タイセイビジョン
6番人気サンライズオネスト
9番人気トゥラヴェスーラ
はい。
この4頭ですね。
▼ここまで絞り込めたら、後はシンプルに、1番人気の軸馬から、上記の4頭に流すだけです。
馬券種は、私の個人的な好みで、三連複と馬連とします。
▼結果は、1番人気⇒9番人気⇒6番人気で決まり、馬連と三連複が両方的中となりました。
馬連が4点で3090円(レース回収率772%)
三連複が6点で10950円(レース回収率1825%)
という感じで、完勝ですね。
▼このレースのポイントは、なんと言っても、高速馬場で上がりが速い決着になると予想できたこと。
ここに注目することができれば、「前走の上がり3ハロン」に注目するだけで、好配当が簡単に的中できたわけですね。