▼本日は、Mデムーロ騎手のデータについて、当研究所の見解を書いてみたいと思います。
まず、結論から書いていきます↓
・Mデムーロ騎手は、平場の回収率は平凡だが、特別戦の賞金が高いレースでは、回収率が高くなる。
・クラス別では、「3勝クラス」「オープン特別」「重賞レース」が狙い目。
・Mデムーロ騎手は、2017年頃まではめちゃくちゃ儲かる騎手だったが、2018年くらいから成績が下降している。調子の波が大きい騎手。
・Mデムーロ騎手は、ダートの重賞レースで回収率が高いので、狙い目。
ではこの根拠について、具体的に解説していきましょう。
▼現在、中央競馬に2人いる外国人騎手の1人、Mデムーロ。
安定感ではもう1人の外国人騎手、ルメール騎手の方が上ですが、ここ一番の勝負強さでは、Mデムーロがピカイチです。
▼まず、過去4年程度(2016~2019年)のMデムーロ騎手の基本データを見てみます↓
・勝率22%
・連対率37%
・複勝率49%
・単勝回収率79%
・複勝回収率80%
はい。
これは、すべてのレースの結果を集計したものです。
これだけ見ると、トップジョッキーとしてはまぁ平均的な成績かなと思います。
▼このデータを見て分かる通り、Mデムーロ騎手は、ただ何となく狙って行っても利益を出すことはできません。
でも、ここからフィルタリングしていくことで、一気に狙える騎手に変わります。
▼その一つの基準が、
・平場の単勝回収率72%
・特別戦の単勝回収率90%
このデータからわかるわけです。
▼平場というのは、レース名がついていないレース。
朝の第1レースから、昼の第8レースくらいまでに組まれることが多いです。
この平場のレースは、下級クラスのレースが多いので、あまり賞金が高くありません。
なので、騎手によっては、平場だけ回収率が低い騎手というのも存在するわけです。
▼賞金が高いレースの方が、やる気になる。そんな騎手もいるのかなと。
Mデムーロ騎手は、そのようなタイプの騎手という印象です。
▼そう考えると、Mデムーロ騎手を狙う時は、平場ではなく、特別戦で狙っていくのが効果的であると考えられます。
ちなみに、平場の単勝回収率は72%、複勝回収率は78%です。
これはごく平均的な回収率ですね。やや低いくらいです。
▼Mデムーロ騎手を狙う場合、回収率が高いクラスは、
「1600万下(3勝クラス)」「オープン特別」「重賞レース」です。
それぞれの単勝回収率を列挙してみます↓
・1600万下(3勝クラス)⇒単勝回収率98%
・オープン特別⇒単勝回収率103%
・重賞レース⇒単勝回収率102%
はい。
平場と比べると、もう明らかに回収率が違うわけです。
▼例えば、Mデムーロ騎手を単勝で狙うとすると、平場では回収率72%にしかなりませんが、重賞レースで狙うと、回収率102%になるわけです。過去のデータですが。
このように、Mデムーロ騎手は、クラスによって明らかに回収率が違うので、なるべく賞金の高いクラスで狙っていく方が儲かります。
ちなみに、G1の単勝回収率は114%になっています。
G1でのMデムーロ騎手は、要注意ですね。
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ミルコデムーロ騎手の弱点
▼Mデムーロ騎手のデータについての考察を続けます。
ここまで書いてきたとおり、Mデムーロ騎手は、1600万クラス(3勝クラス)以上のハイレベルなレースで狙っていくと、回収率が上がりやすいです。
ただ、このデータにも欠点があります。
▼これは騎手データ全般に言えることなんですが、
「騎手というのは、その時期によって好調不調があり、データの波が激しい」
という部分です。
▼例えば、「Mデムーロ騎手。3勝クラス以上のデータ」
これを年度別に見てみます。
・2016年⇒単勝回収率107%
・2017年⇒単勝回収率122%
・2018年⇒単勝回収率82%
・2019年⇒単勝回収率81%
はい。
このような感じで、2017年まではめちゃくちゃ儲かる騎手だったんですが、近年は成績が落ち込んでいます。
▼勝率や連対率がそれほど大きく減少した訳では無いことを考えると、ひとつの原因としては、「人気馬で勝つことが多くなった」と、考えることができます。
Mデムーロ騎手は、元々は「助っ人外国人騎手」で、JRAの所属ではありませんでした。
でも今は、JRAの所属です。
▼地方競馬出身の、アンカツ騎手や岩田騎手もそうだったんですが、中央競馬の所属になると、助っ人の時より、回収率が下がる傾向にあります。
中央競馬の騎手だと、毎週レースがあるし、調教にも乗らなければならない。
そのような労力を考えると、「勝てそうな馬」の時に全力で騎乗するというスタンスになっても、おかしくありません。
中央競馬に所属していると、朝から常に全力で騎乗していくというのは、なかなか難しいのかもしれません。
▼また、Mデムーロ騎手は、イタリア人の特徴なのかわかりませんが、明るく元気の良いタイプです。
なので、調子が良いときは手が付けられない。
G1でも連勝してしまうほど、確変モードに入ることがよくあります。
▼その代わり、調子を崩してくると、勝てる馬でも取りこぼすことが多くなる。
つまり、良い時と悪い時の差が、はっきりしているタイプなんですね。
なので、Mデムーロ騎手を狙う時は、調子が良い時を狙っていく方が、回収率は上がりやすくなると思います。
▼▼さて、ここまではMデムーロ騎手が賞金の高いレースに強いと書いてきました。
さらに具体的に見てみましょう。
2015~2019年の重賞レースのデータです↓
【Mデムーロ騎手。重賞レースデータ】
単勝回収率119%
複勝回収率89%
はい。
素晴らしい回収率になっています。
これはつまり、2015年からの5年間で、Mデムーロ騎手の単勝を重賞レースで買い続ければ、回収率は119%にもなったということです。
▼この数字は驚異的で、Mデムーロ騎手が大舞台に強いことがよくわかります。
では次に、上記のデータを年度別に分類してみましょう。
2015年⇒単勝回収率227%
2016年⇒単勝回収率107%
2017年⇒単勝回収率140%
2018年⇒単勝回収率94%
2019年⇒単勝回収率22%
はい。
2018年頃から、回収率が低下しているのが分かります。
2019年は、重賞レースで狙っても全く儲からない騎手になってしまいました。
▼2019年度は、オークスをラヴズオンリーユーで優勝。
NHKマイルカップをアドマイヤマーズで優勝。
年初には、日経新春杯をグローリーヴェイズで優勝していますが、どれも人気馬で、回収率を引き上げるような穴馬での勝利はありませんでした。
▼このように、Mデムーロ騎手の過去5年間の重賞レースでの単勝回収率は、119%もあるんですが、近年は不振。
頻繁に人気馬を飛ばしています。
こうなってくると、なかなか狙いどころが難しいですね。
▼それでも、Mデムーロ騎手の得意条件を知っておく事は、回収率の向上に立ちます。
例えば、「ダート重賞レース」
これはMデムーロ騎手の得意条件になります。
単勝回収率407%・複勝回収率162%と、驚異的な回収率になっています。
▼Mデムーロ騎手は、外国人騎手としては珍しく、ダートが得意な騎手です。
ルメール騎手などは、ヨーロッパの騎手だけあって、芝のレースでは抜群にうまいんですが、ダートだと少し信頼度が下がります。
その点で、Mデムーロ騎手は、ダートでむしろ信頼度が上がる外国人騎手になります。
▼2015年のチャンピオンズカップを、12番人気のサンビスタで制したレースなどは、Mデムーロ騎手の腕なくしてはあり得ない勝利でした。
Mデムーロ騎手は、ダート重賞レースで、「人気馬」に乗った時の信頼度が非常に高いです。
ダート重賞で1~3番人気なら、単勝回収率はすべてプラス収支になっています。
したがって、Mデムーロ騎手がダート重賞で人気馬に乗っている時は、まずその馬を軸馬として検討することで、回収率も高くなりやすくなるわけです。
▼▼では次に、Mデムーロ騎手のデータを、さらに期間を更新してチェックしてみましょう。
【Mデムーロ騎手。全レースデータ】2019~2021年。1408レース分析
勝率14%
連対率25%
複勝率37%
単勝回収率68%
複勝回収率75%
はい。
2019年からの2年半の、Mデムーロ騎手のデータは上記の通りです。
▼単勝回収率68%・複勝回収率75%ですから、トップジョッキーとしては、成績は悪い部類に入ります。
前半で解説したように、Mデムーロ騎手は元々は非常に回収率の高い騎手だったんですが、近年は大きくスランプに落ち込んでいます。
▼では次のデータを見てみましょう。
平場⇒単勝回収率72%・複勝回収率75%
特別戦⇒単勝回収率63%・複勝回収率77%
はい。
Mデムーロ騎手は、特別戦の回収率が高いのが特徴でしたが、2019年からの特別戦は、単勝回収率63%と、かなり低くなってしまいました。
現在のMデムーロ騎手は、特別戦でも狙えない騎手になってしまっています。
▼では次のデータを見てみます。
G1⇒単勝回収率99%・複勝回収率52%
G1レースの単勝回収率は99%と、勝負強い面は残っています。
この数字だけ見ると、G1でMデムーロ騎手を狙えば儲かりそうな気がしてきますが、注意点があります。
それは、G1の単勝回収率が99%とは言え、これは2020年のNHKマイルカップを、9番人気のラウダシオンで勝ったから、という部分が大きいという点です。
▼この時の単勝オッズは、2960円。
このレースを除外すると、Mデムーロ騎手のG1での回収率は、単勝回収率42%・複勝回収率37%と、暴落してしまいます。
このことから、近年のMデムーロ騎手は、大舞台での勝負強さも失われてしまったと考えられます。大スランプですね。
▼ちなみに、重賞レース全体の回収率は、単勝回収率50%・複勝回収率57%と、かなり低いです。
重賞レースで、ミルコ・デムーロ騎手を積極的に狙っていくと、大赤字になってしまうことがわかります。
あれだけ勝負強かったMデムーロ騎手が、このような低い回収率になってしまった事は、非常に残念ですね。
ただ、騎手の成績というのは、ちょっとしたきっかけで大きく変動するので、また大舞台に強いMデムーロ騎手が戻ってきてくれることを願って、この記事も更新していきたいと思います。
▼▼では次に、Mデムーロ騎手のデータを、さらに期間を更新してチェックしてみましょう。
【Mデムーロ騎手。全レースデータ】2019~2022年。1816レース分析
勝率13%
連対率25%
複勝率38%
単勝回収率74%
複勝回収率77%
はい。
2019年からの3年強の、Mデムーロ騎手のデータは上記の通りです。
▼基本的には、前回の集計期間と数字はほとんど変わりませんが、回収率は少しアップしています。
上記回収率を、年度別に集計してみましょう。
2019年⇒単勝回収率56%・複勝回収率72%
2020年⇒単勝回収率73%・複勝回収率69%
2021年⇒単勝回収率92%・複勝回収率88%
2022年⇒単勝回収率74%・複勝回収率88%
はい。
年度別に見ていくと、Mデムーロ騎手は、2021年から復活傾向にあることがわかります。
▼では次に、重賞レースの戦績を見てみましょう。
【Mデムーロ騎手。重賞レースデータ】2019~2022年
2019年⇒単勝回収率17%・複勝回収率40%
2020年⇒単勝回収率76%・複勝回収率65%
2021年⇒単勝回収率169%・複勝回収率81%
2022年⇒単勝回収率73%・複勝回収率66%
はい。
重賞レースに限定してみても、やはり2021年の成績が突出していることがわかります。
▼ここまで見てきた通り、Mデムーロ騎手は、2019年と2020年はスランプでしたが、2021年から復活傾向にあります。
成績的なムラが大きい騎手で、難しい部分もありますが、トレンドの波に乗れば大儲けできる騎手なので、常にその年の調子はチェックしておきたいところです。
▼では次に、彼の脚質別の成績を出してみましょう。
【Mデムーロ騎手。脚質別データ(全レース対象)】2019~2022年
逃げ⇒単勝回収率177%・複勝回収率135%
先行⇒単勝回収率88%・複勝回収率97%
差し⇒単勝回収率60%・複勝回収率68%
追い込み⇒単勝回収率35%・複勝回収率39%
マクリ⇒単勝回収率141%・複勝回収率116%
はい。
脚質別のデータは上記の通りになります。
▼まず、逃げた時の回収率が最も高いのは、Mデムーロ騎手だけでなく、ほとんどの騎手でそうなります。
競馬は先行した方が圧倒的に有利なので、ほとんどのデータケースでは、逃げ・先行の回収率が高くなるわけです。
それに対して、差し・追い込みの回収率は低くなります。
なので、Mデムーロ騎手を狙う場合でも、逃げ・先行馬を中心に狙っていくと、回収率が高くなりやすいわけですね。
▼それともう1点、Mデムーロ騎手は、「マクリ」の回収率が非常に高くなっています。
マクリというのは、道中は後方にいて、途中から加速して、一気に先頭付近まで上がっていく乗り方です。
Mデムーロ騎手は、重賞レースでもマクリを打つことが多いので、よく見かけるかと思います。
Mデムーロ騎手は、このマクリの回収率がかなり高くなっているので、過去にマクっている馬に騎乗している時などは、要注意ですね。