▼本日は、馬格の影響について、当研究所の見解を書いてみたいと思います。
まず、結論から書いていきます↓
・競馬では、馬格が大きい馬ほど強い傾向にある
・競馬もスポーツなので、一般的なアスリートと同じように、体が大きいほど有利であると言える
・馬体重の重さや軽さは、レベルの高いレースになればなるほど、大きく影響してくる
・体の小さい馬が、重い斤量を背負うとかなり不利になる
ではこの根拠について、具体的に解説していきましょう。
▼競馬では、体の大きい馬も、小さい馬も、みんな一緒にレースを走ります。
人間のボクシングや柔道では、体重別に戦いますが、競馬は階級別に分かれていません。
そのため、550キロの馬と390キロの馬が一緒にレースを走るわけです。
では、体の大きい馬(馬格がある馬)と、体が小さい馬(馬格がない馬)では、どちらが強いのか?
▼人間のマラソンでは、体が小さく、痩せている選手が活躍している印象です。
では競馬でも、体が小さく、馬体重が軽い馬が強いのか?
ちょっとデータ分析してみましょう。
【馬体重データ。重賞レース。連対率】2020~2023年
” ~399kg”→連対率5%
” 400~419kg”→連対率6%
” 420~439kg”→連対率10%
” 440~459kg”→連対率13%
” 460~479kg”→連対率15%
” 480~499kg”→連対率13%
” 500~519kg”→連対率14%
” 520~539kg”→連対率15%
” 540~”→連対率11%
はい。
馬体重別の連対率をデータ分析すると、上記のようになります。
▼このデータを見れば一目瞭然ですが、馬体重の軽い馬、体の小さな馬は、連対率が低くなっていることがわかります。
439キロ以下の馬は、極端に連対率が低いですね。
これはなぜか?
理由を列挙してみましょう。
【体の小さな馬が弱い理由】
・同じ斤量を背負った場合、体の小さな馬は、馬体重に対して斤量の割合が多くなってしまうため不利
・レースでは、体の小さな馬は、馬体がぶつかった時に不利なため
・体の小さな馬は、馬群から抜け出しにくいため
はい。
このような理由により、馬格がない馬は、連対率が低くなっていると思われます。
▼このような馬格の影響は、特に重賞レースなどのハイレベルなレースで顕著に現れます。
レベルが高いレースになればなるほど、馬格がある方が有利になるわけです。
なので、G1レースや重賞レースしか買わないという人は、特に「体の大きな馬を優先的に選んでいく」ということを意識するだけで、的中率と回収率が上がりやすくなるわけですね。
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馬格が大きいと有利?
▼ということで、馬格による有利不利について、次の解説をしていきましょう。
先程の続き。
体の小さな馬が弱い理由について、さらに具体的に解説していきます。
▼「体の小さな馬は、馬体重に対する斤量の割合が多くなるので、不利」
競馬では、基本的に同じくらいの斤量を背負ってレースをします。
牡馬なら、57キロ程度の斤量を、全馬が背負うわけです。
▼この時、同じ57キロを背負っても、全馬が同じ負担になるわけではありません。
馬体重が550キロの馬の57キロと、馬体重が390キロの馬の57キロは、割合が全く違うわけです。
同じ斤量を背負った場合、体の小さな馬は、馬体重に対して斤量の割合が多くなってしまうんですね。
▼公平な競馬にするのであれば、馬体重の重い馬には、重い斤量を。
馬体重の軽い馬には、軽い斤量を背負わせるべきなんですが、競馬のルールはそのようにはなっていません。
したがって、必然的に馬体重の重い馬の方が有利になり、馬体重の軽い馬は不利になるわけですね。
▼競馬予想する場合でも、ハンデ戦などで重い斤量を背負う馬がいたら、その馬の馬体重をチェックすることが重要です。
「この馬はハンデ59キロか。馬体重は・・・530キロ。それならあまり問題はなさそうだな」
「この馬はハンデ59キロか。馬体重は・・・420キロ。これはかなり斤量の負担が重くなりそうだ。評価を下げよう」
という感じで、単純に59キロの斤量だけを見るのではなく、馬体重とセットで見ていくと、回収率を上げやすくなります。
▼先程は、「連対率」のデータを見ましたが、勝率でも複勝率でも、すべてのデータにおいて、馬体重の重い馬の方が強いという結果が出ています。
基本的に、馬格はあればあるほど有利である。
「雄大な馬体」という言葉がありますが、馬体重は重ければ重いほど、立派な馬体であると判断できるわけです。
逆に、420キロしかない馬体は、「貧相な馬体」というイメージになってしまい、実際に競馬でも不利になるわけですね。
▼▼では次に、「競馬のレースでは、体の小さな馬は、馬体がぶつかった時に不利」という点について。
競馬のコースは、スタートからゴールまで同じコースを走るセパレートレーンではなく、自由なコースを走るオープンレーンです。
なので、道中では他の馬と一緒に走ることになり、馬体がぶつかることも多々あります。
では馬体がぶつかると、どうなるのか?
▼レース中に、馬同士の馬体がぶつかると、体が大きい馬にはそれほどの影響はありませんが、体が小さい馬は、吹っ飛ばされてしまう。
そうすると、体が小さい馬は、ポジションが悪くなったり、走るバランスが崩れたりして、リズムを崩してしまうわけですね。
これは圧倒的に不利な状況と言えます。
▼「競馬は格闘技」と言っても良いほど、レース中は激しく馬体がぶつかります。
2012年、ジェンティルドンナとオルフェーブルのジャパンカップでは、壮絶な馬体のぶつかり合いが記憶に新しいところです。
ちなみにこの時は、ジェンティルドンナが勝ちましたが、ジェンティルドンナの方が馬格が大きかった。
▼このように競馬では、頻繁に馬体がぶつかることになるので、体が大きい馬の方が有利なわけです。
少頭数のレースなど、スマートなレースではそれほど馬格は影響しませんが、多頭数の重賞レースなどでは、馬体がぶつかることが多いので、体が大きい馬の方が有利なんですね。
▼では次に、「体の小さな馬は、馬群から抜け出しにくい」という点について。
上述したように、競馬のレースはオープンレーンなので、全馬が同じコースを走ります。
そのため、馬群が凝縮すると、体の小さな馬は馬群に包まれてしまうことになります。
体が小さい馬は、他の馬に囲まれてしまうんですね。
▼こうなってしまうと、馬格のない馬は、馬群から抜け出せなくなります。
体が大きい馬の場合は、強引に馬体をぶつけて馬群から抜け出すことができるんですが、体が小さいとそれができない。
なので体が小さい馬は、馬群に包まれてしまうと、進路を確保することができず、能力を発揮できないまま負けることがあるわけです。
▼自分が騎手になったと想像してみてください。
自分の騎乗馬が、とても体の小さな馬で、周囲を体の大きな馬に囲まれていたら?
これは怖いですよね。
体の小さな馬が、馬群から抜け出すのは、本当に難しいことなんです。
▼このような理由により、体の小さな馬は不利であり、弱いと言えます。
もちろん、ディープインパクトやドリームジャーニーのように、体が小さくても強い馬はいますが、それは例外。
彼らは、大外をブン回しても勝てる能力があった。
しかし普通の馬は、大外を回してしまうと勝てないので、やはり体の小さな馬は不利であると言えるわけですね。