重馬場・不良馬場での馬券の買い方

▼本日は、重馬場・不良馬場について、当研究所の見解を書いてみたいと思います。

まず、結論から書いていきます↓


・重馬場と不良馬場の重賞レースでは、単勝回収率が高い、つまり穴馬が1着になりやすい。

・また、雨の重賞レースでは、10~15番人気の大穴の複勝回収率も高く、馬場が悪いと大穴馬の激走が多いと言える。

・重馬場・不良馬場では、レースが荒れやすいので、穴党には向く。本命党は良馬場で勝負した方が良い。

・重馬場・不良馬場では、逃げ馬・先行馬が残りやすいので、前に行く馬は狙い目。



ではこの根拠について、具体的に解説していきましょう。



▼競馬では、雨や雪が降って、馬場の水分含有量が増えると、馬場状態が変化します。

良馬場⇒稍重⇒重馬場⇒不良馬場

という4段階ですね。



▼ほとんどのレースは良馬場で行われますが、雨や雪が降った日などは、重馬場になる。

この馬場状態というものは、競馬の結果に大きな影響を与えます。

たかが雨ですが、されど雨。

しっかり傾向を分析しておきましょう。



▼まず、具体的なデータを見てみます。

2000年~2019年4月までの、芝の重賞レース。重馬場と不良馬場のデータです。


・単勝回収率96%・複勝回収率82%

はい。
まずは、回収率のデータですが、単勝回収率が非常に高くなっています。

これはどういうことかというと、「穴馬が1着になっている」ということ。

つまり、重馬場と不良馬場の重賞レースでは、人気薄が1着に来やすいと言える。



▼例えば、 2019年の弥生賞は、重馬場で行われましたが、勝ったのは8番人気のメイショウテンゲンでした。

このレースは、1~3番人気が揃って沈み、10頭立てなのに、三連単45万馬券となった。



▼重馬場と不良馬場の重賞レースのデータを、人気別に見ると、11番人気から14番人気までが、単勝回収率プラス。

これは良馬場ではあり得ないことです。

複勝回収率では、10番人気から15番人気までが、回収率100%前後になっており、これも良馬場ではあり得ない。



このことから考えても、重馬場・不良馬場は、レースが荒れやすいと言える。

これはある意味当たり前のことで、競馬のオッズというのは、競馬新聞の印によって作られる。

競馬新聞の印は、良馬場を前提として付けられている。

なので、重馬場・不良馬場では、オッズの通りには決まりにくくなり、その結果、レースが荒れるわけです。



▼ですから、もしあなたが本命党なら、重馬場や不良馬場の日は避けて、良馬場で勝負したほうが、回収率が上がりやすくなると言えます。

良馬場の方が、人気馬の信頼度が上がり、本命サイドの期待値がアップするからですね。



▼逆に、もしあなたが穴党なら、重馬場・不良馬場で穴狙いするのは、理にかなっていると言える。

馬場が悪い日は、人気馬の好走確率が下がり、その分、穴馬の激走確率が上がります。

このような傾向を利用すれば、効率的に穴狙いしていくことができる。

これも、重馬場・不良馬場での楽しみ方の1つかと思います。


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重馬場で狙える馬とは?

▼重馬場・不良馬場での馬券の買い方についての考察を続けます。

ここまでの話をまとめると、重馬場・不良馬場では、各馬の能力差が小さくなる。

つまり、弱い馬でも馬券圏内に入りやすくなる。

その結果、人気薄の回収率が、全体的に高めになる。

このような傾向になります。



▼ここでは、重馬場・不良馬場で好走しやすい「脚質」について考えてみます。

データ条件は、先ほどと同じ、芝の重賞レースです。


・逃げ⇒単勝回収率273%
・先行⇒単勝回収率120%
・差し⇒単勝回収率95%
・追い込み⇒単勝回収率35%



はい。
先行有利な傾向は、良馬場でも同じなんですが、重馬場だと、よりその傾向が顕著になります。



▼逃げた馬の単勝回収率273%は、驚異ですね。

馬場状態が悪いと、各馬の切れ味が奪われるので、逃げた馬がそのまま粘り込んでしまうケースが多発します。

逃げた馬は、複勝回収率も110%とプラスになる。

重馬場では、逃げ馬は要注意ですね。



▼それに対して、後方から進む馬、追い込み馬は、単勝回収率35%しかない。

これも重馬場に限ったことではないんですが、重馬場だと、さらに追い込み馬の期待値が下がる印象です。



▼このことから、重馬場のレースでは、できるだけ前に行ける馬を狙っていくと、回収率が上がりやすくなります。

逆に、瞬発力が武器の追い込み馬を、重馬場で狙っても、なかなか利益を出すのは難しいということになります。



▼では次に、上がり3ハロンのタイム

・上がり3ハロン1位の馬⇒単勝回収率435%(重馬場・不良馬場)

はい。
追い込み馬は期待値が低いのに、上がり3ハロン1位の馬は、ものすごく回収率が高くなっています。

これは、重馬場適性によるものだと思われます。

つまり、重馬場で上がり3ハロン1位になる馬というのは、重馬場に適性がある。

だから回収率も高くなるというわけ。



▼逆に、雨や重馬場が苦手な馬は、柔らかい芝に脚を取られて進んでいかないので、必然的に上がり3ハロンも遅くなる。

例えば、重馬場のレースで、上がり3ハロン6位以下の馬は、単勝回収率27%しかありません。

これはいわゆる、重馬場が嫌いな馬。

良馬場でしか走らない馬などが、回収率を引き下げているため、このような数字になると思われます。



▼▼では次に、重馬場・不良馬場で回収率が高い「騎手」について。
サンプル数は少ないんですが、まずデータを見てみましょう↓

重馬場・不良馬場の重賞レース。2010~2019年


・Mデムーロ騎手⇒単勝回収率176%

・田辺騎手⇒単勝回収率197%

・浜中騎手⇒単勝回収率107%

・三浦騎手⇒単勝回収率124%

・藤岡佑介騎手⇒単勝回収率446%

・池添騎手⇒単勝回収率136%



はい。
過去10年程度の重賞レースで、馬場が悪い時に回収率が高かった騎手は、上記の通りです。

いつものトップジョッキーではなく、ややリーディングが下の騎手が活躍しているのが分かります。

これは、トップジョッキーが人気馬に乗って勝ち切れなかった時に、人気薄で勝った騎手、と言うこともできます。



▼ちなみに、トップジョッキーの回収率も見てみましょう↓


・ルメール騎手⇒単勝回収率79%

・川田騎手⇒単勝回収率13%

・戸崎騎手⇒単勝回収率50%

・武豊騎手⇒単勝回収率46%



はい。
このような数字になります。

良馬場では、かなり高い回収率を誇る彼らも、重馬場・不良馬場では大きく回収率を落としています。



▼馬場が悪くなると、強い馬が能力を発揮できなくなるので、強い馬に騎乗するトップジョッキーは、回収率が下がりやすくなるわけです。

なので、騎手で馬券を買う人も、重馬場・不良馬場ではなく、良馬場で狙ったほうが良いということになります。

トップジョッキーの信頼度は、良馬場の時が一番、高くなるからですね。

逆に、馬場が悪化した時にトップジョッキーを狙っても、上述したように、なかなか回収率が上がってこない状況です。



▼重馬場・不良馬場の重賞レースで活躍する騎手の中では、Mデムーロ騎手の活躍が目立ちます。

彼の場合、大穴で回収率を上げているわけではなく、人気馬でもしっかり勝っているのが特徴ですね。



▼Mデムーロ騎手が、重馬場や不良馬場で勝ったレースを少し分析してみましょう。

まず代表的なレースとしては、2017年の菊花賞。

キセキに騎乗して、不良馬場のG1を勝ったレースです。

このレースは、キセキが1番人気だったんですが、不良馬場ということもあり、単勝オッズは4.5倍と、競馬ファンもあまり信用していない感じのオッズでした。



▼しかし、Mデムーロ騎手は、後方からうまく外目を回り、最後は2着クリンチャーに、2馬身差をつける完勝となりました。

ちなみにこのレース、私は馬連の万馬券を的中したんですが、軸はMデムーロ騎手のキセキでした。

相手ヒモ馬は、ダメ元で大穴狙い。

8~12番人気の5点買いで、簡単に万馬券が的中したレースでした。

やはり馬場が悪い時は、穴狙いが有効になるケースが多いと考えられます。



▼▼では次に、全レースを対象とした、重馬場・不良馬場の騎手データを見てみましょう。

先ほどは、重賞レース限定でしたが、今回はすべてのレースを対象としたデータです。


重馬場・不良馬場での騎手データ。全レース対象】2016~2021年

ルメール騎手⇒単勝回収率85%・勝率25%
福永騎手⇒単勝回収率86%・勝率16%
戸崎騎手⇒単勝回収率83%・勝率17%
田辺騎手⇒単勝回収率125%・勝率13%
鮫島克駿騎手⇒単勝回収率81%・勝率9%
内田騎手⇒単勝回収率102%・勝率7%
北村友一騎手⇒単勝回収率105%・勝率9%
石橋脩騎手⇒単勝回収率105%・勝率12%
松若騎手⇒単勝回収率107%・勝率5%
西村騎手⇒単勝回収率176%・勝率8%



はい。
2016年からの5年半で、重馬場・不良馬場で単勝回収率が高い騎手は、上記の通りです。



▼重賞レースだけで見た時より、大きくメンバーが入れ替わっています。

まず、重馬場・不良馬場での勝ち星1位は、ルメール騎手。ダントツです。

勝率25%・連対率42%・複勝率52%も、2位の福永騎手を大きく引き離しており、ルメール騎手は、重馬場・不良馬場でも上手い騎手と言えます。

ただ、先ほども書いた通り、重賞レース限定で考えると、ルメール騎手の重馬場・不良馬場は回収率が低めに出るので、重賞レースで雨だったら、ルメール騎手の信頼度は下がります。



▼その一方で、新馬戦・未勝利戦の単勝回収率は、どちらも110%と、非常に優秀な数字になっています。

ルメール騎手が、新馬戦・未勝利戦で騎乗していて、重馬場・不良馬場の時は、要注意ですね。



▼では次に、福永騎手。

福永騎手は、勝率こそルメール騎手に大きく差をつけられていますが、回収率はルメール騎手を1ポイント上回る、86%と優秀。

福永騎手も、未勝利戦の単勝回収率が127%と、非常に高くなっています。

福永騎手の、雨の未勝利戦は狙い目ですね。



▼また、福永騎手の成績を、「平場」と「特別戦」に分けて考えてみると、

平場⇒単勝回収率98%
特別戦⇒単勝回収率51%


という感じで、圧倒的に平場の回収率が高くなっています。

平場というのは、レース名がついていないレースで、第1レースから第8レースまでに組まれることが多いです。

このような前半のレースで雨だった場合、福永騎手は要注意となります。



▼▼では次に、全レースを対象とした、重馬場・不良馬場での「人気別データ」を見てみましょう。


重馬場・不良馬場での人気別データ。全レース対象】2016~2022年

71(%)
80
97
70
96
92
82
58
125
113
77
163
37
93
67
113
321
0

(※上から1~18番人気。単勝回収率)



はい。
重馬場・不良馬場のレースで、人気別の回収率を集計すると、上記のようになります。



▼まず目立つのは、1番人気の単勝回収率が71%と勝ち切れない所です。

1番人気の単勝回収率が低くなっている分、1番人気以外の馬の単勝回収率が高くなっているのがわかります。

このことから、重馬場・不良馬場のレースでは、1番人気以外の単勝馬券で勝負すると、回収率が上がりやすい事がわかります。

特に、9~12番人気の大穴ゾーンは、単勝回収率119%・複勝回収率94%と高い回収率になっており、狙い目です。



▼重馬場・不良馬場のレースでは、1番人気以外の単勝回収率が高い。という事は、単勝より、馬単や三連単の1着固定の方が、さらに回収率が上がるということになります。

馬単や三連単の1着固定は、相手ヒモ馬を絞り込むことができるので、単勝馬券よりも、回収率を高めやすいからです。



▼では次に、重馬場・不良馬場のレースで、1番人気がどのような成績なのか、具体的な詳細データを見ていきましょう。


重馬場・不良馬場での1番人気馬データ。全レース対象】2016~2022年

新馬戦⇒単勝回収率69%
未勝利戦⇒単勝回収率70%
1勝クラス⇒単勝回収率78%
2勝クラス⇒単勝回収率70%
3勝クラス⇒単勝回収率44%
オープン特別⇒単勝回収率67%
リステッド競走⇒単勝回収率10%
重賞レース⇒単勝回収率95%



はい。
重馬場・不良馬場での1番人気馬のデータを、クラス別に集計すると上記のようになります。



▼目立つ部分としては、3勝クラスからオープン特別までの、中途半端にハイレベルなレースで、1番人気馬が勝ち切れないという点です。

単勝回収率はかなり低くなっており、3勝クラスからオープン特別までのレースで、重馬場・不良馬場だったら、1番人気はあまり信頼できないということになります。

その分、2番人気以下の馬の期待値が上がるので、その場合は、1番人気を軽視した馬券構成が有効になりますね。


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