▼本日は、阪神競馬場の特徴について、当研究所の見解を書いてみたいと思います。
まず、結論から書いていきます↓
・阪神競馬場は、東京競馬場よりさらに「差し」が決まりやすい。
・それでも全体的なデータを見ると、やはり逃げ馬と先行馬の好走確率が高い。
・阪神競馬場は、差し馬でも勝負になるが、追い込み馬はさすがに厳しい。回収率は低め。
・阪神競馬場は、中央4場の競馬場の中で、最も「外枠有利」になりやすい競馬場である。
ではこの根拠について、具体的に解説していきましょう。
▼阪神競馬場は、右回りで直線が長く、最後に坂があるのが特徴のコースです。
2006年にコース改修されてから、外枠の不利が改善され、不公平な条件が少ない競馬場になりました。
▼では、具体的なデータを見てみましょう。
阪神競馬場の芝コース。過去10年の脚質データです(2010~2019年)
逃げ馬⇒単勝回収率217%
先行馬⇒単勝回収率84%
差し馬⇒単勝回収率69%
追い込み馬⇒単勝回収率30%
はい。
阪神競馬場は、他の競馬場と比べると、差し・追い込みが決まりやすい競馬場ですが、全体のデータを見ると、逃げ馬・先行馬の回収率が高くなります。
▼阪神競馬場は、広いコースですが、意外と直線で馬群が密集し、前が詰まりやすいコースでもあります。
そのため、スムーズに進路を確保できる逃げ馬・先行馬の回収率が高くなっていると思われます。
それでも、中山競馬場や東京競馬場と比べると、差し馬の単勝回収率が70%近くあるので、やはり差しが決まりやすい競馬場と言えます。
参考記事
↓
東京競馬場の馬券の買い方
▼では次に、軸馬として重要な「連対率」を見てみます。
逃げ馬⇒連対率25%
先行馬⇒連対率22%
差し馬⇒連対率15%
追い込み馬⇒連対率5%
はい。
回収率で見ると、逃げ馬と先行馬が圧勝でしたが、連対率で見ると、差し馬も互角の戦いになります。
阪神競馬場では、よほど後方に置かれる形にでもならなければ、どの位置取りからでも勝負になると言えます。
▼では次に、「勝ち馬の平均オッズ」を見てみます。
逃げ馬⇒単勝平均1396円
先行馬⇒単勝平均788円
差し馬⇒単勝平均979円
追い込み馬⇒単勝平均1295円
はい。
これも大体、他の競馬場と同じような傾向です。
逃げ馬は、人気薄でこそ能力を発揮できるというデータになっています。
先行馬は、人気でしっかり勝っているので、軸馬にするなら、先行馬がベストですね。
▼ここまで見てきたとおり、阪神競馬場で儲かる脚質は、逃げ馬です。
これは阪神競馬場だけの特徴ではないんですが、逃げ馬は常に警戒しておく事が重要ですね。
▼一方で、追い込み馬は、やはり阪神コースでも、回収率・連対率ともに低いです。
単純に、弱い馬が後方から行くので、このようなデータになりやすいんですが、阪神競馬場の1番人気に絞り込んでも、追い込み馬は、単勝回収率43%しかありません。
なので、阪神コースでも、軸馬にするなら逃げ馬・先行馬を中心に考えた方が、回収率は上がりやすくなります。
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阪神競馬場で有利な枠順は?
▼阪神競馬場の馬券の買い方についての考察を続けます。
先ほどは、脚質について解説しました。
ここでは、枠順について考えてみたいと思います。
▼阪神競馬場は、すべての競馬場の中でも、最も「外枠有利」になりやすい競馬場という印象です。
直線が長く、坂があり、4コーナーも不利のない作りになっているので、外枠の馬が追い込んでくるケースが多々あります。
▼阪神競馬場以外の競馬場では、基本的には内枠をスムーズに回ってきた馬が上位に来やすい。
これは当然で、競馬というのは円形のコースを周回するレースですから、インコースを走った方が距離ロスが少なく、有利なんですね。
▼そういう意味では、阪神コースも通常の右回りコースなので、インコースを走った方が最短距離を走れるため、有利です。
ただ、他の競馬場よりは、外枠が不利ではないという感じ。
阪神コースの、枠順別連対率のデータを見てみましょう↓
1番枠⇒連対率16%
4番枠⇒連対率18%
8番枠⇒連対率14%
15番枠⇒連対率11%
17番枠⇒連対率10%
はい。
外枠が不利になりにくい阪神コースとは言え、これくらいの差は出てしまうわけです。
明らかに最短距離を走れる内枠の方が、連対率が高くなっています。
▼ただ、だからといって阪神競馬場で内枠を狙っても利益は出ません。
なぜかというと、内枠の馬は馬券が売れるからです。
単勝の平均オッズを見てみると、内枠の馬は単勝平均700円くらい。
それに対して、外枠の馬は、単勝平均1500円くらいも、配当オッズがつくわけです。
▼好走確率はそれほど違わないのに、オッズは倍ほども違う。
という事は、阪神競馬場では、内枠の馬より外枠の馬の方が、回収率が高くなりやすいということになります。
▼阪神競馬場の芝コースでは、11番枠より外の馬で、単勝回収率が100%を超えている馬が、ゴロゴロいます。
それに対して、内枠の馬は、単勝回収率が60%くらいしかない。
▼そう考えると、「的中率では内枠」「回収率では外枠」ということになるわけです。
この傾向は、中山競馬場と似ていますね。
ちなみに、阪神競馬場の「大外枠」の単勝回収率は88%と、やはり高めになっています。
これも、中山競馬場と同じ傾向になります。
▼▼では次に、「阪神競馬場の重賞レース」のデータを見てみましょう。
※2010~2019年
逃げ馬⇒単勝回収率173%
先行馬⇒単勝回収率67%
差し馬⇒単勝回収率62%
追い込み馬⇒単勝回収率30%
はい。
重賞レースに限定しても、逃げ馬の単勝回収率が高いのは変わりません。
この理由は、逃げ馬は人気になりにくい上に、勝率は最も高くなるからです。
▼単勝回収率のデータを見ると、逃げ馬は別格として、先行馬と差し馬は、ほぼ互角の成績になっています。
これは他の競馬場では見られない傾向で、やはり阪神コースは、差し馬が台頭できるコースと考えることができます。
▼では次に、「複勝回収率」のデータも見てみましょう。
逃げ馬⇒複勝回収率136%
先行馬⇒複勝回収率77%
差し馬⇒複勝回収率77%
追い込み馬⇒複勝回収率51%
はい。
複勝回収率で見ていくと、全体の数値がなめらかに平均化されているのがわかります。
▼複勝回収率では、3着以内に来ることが要件になってくるので、単勝回収率よりも差が出にくいデータになります。
それでも、逃げ馬はやはり強く、「そのレースで逃げる馬」を予想することは、回収率を上げるために重要なポイントになります。
▼複勝回収率で見ても、先行馬と差し馬は互角ですね。
通常は、馬券の軸馬は、先行馬にするのが基本になりますが、阪神の重賞レースでは、差し馬でも軸として有効になります。
▼では次に、「阪神の重賞レースでの枠順データ」を見てみましょう。
1枠⇒単勝回収率70%
2枠⇒単勝回収率54%
3枠⇒単勝回収率53%
4枠⇒単勝回収率57%
5枠⇒単勝回収率69%
6枠⇒単勝回収率38%
7枠⇒単勝回収率55%
8枠⇒単勝回収率92%
はい。
阪神の重賞レースでは、大外の8枠の単勝回収率がダントツで高くなっています。
勝率で比較すると、1枠が9%で、8枠が10%とほとんど変わりません。
ではなぜ回収率に大きな差が出るかというと、「8枠の馬は、馬券が売れないから」です。
▼競馬では、内枠有利は定説であり、基本的には内枠の馬ほど馬券が売れることになります。
これは阪神コースでも例外ではなく、阪神の重賞レースで最も馬券が売れやすいのは、1枠の馬なんですね。
▼しかし上述した通り、阪神コースは改修されてから外枠の不利がなくなっており、外枠でも活躍できるコースになっています。
外枠というのは、距離ロスさえなければ、不利を受けるリスクが低く、走りやすい枠なんですね。
なので阪神コースでは、外枠は人気にならない上に走りやすいので、8枠の単勝回収率が最も高くなっているわけです。
▼▼では次に、阪神競馬場の重賞レースで、人気別の単勝回収率を見てみましょう。
【阪神競馬場。芝重賞レース。人気別の単勝回収率】2010~2021年。240レース分析
83(%)
76
69
98
54
62
86
108
79
60
58
55
52
0
0
0
0
271
(※上から、1~18番人気)
はい。
阪神競馬場の重賞レースで、人気別に回収率を集計すると、上記のようになります。
▼基本的な傾向は、他の競馬場とあまり変わらないですね。
1番人気の信頼度は単勝回収率83%と、まずまず高くなっています。
阪神競馬場は、枠順による有利不利が少ないので、1番人気馬が能力を発揮しやすいコースと言えます。
▼人気別の狙い目は、1~9番人気で、この人気ゾーンで馬券を構成するのが基本になります。
10~13番人気も、そこそこ馬券になりますが、このゾーンは1~9番人気と比べると、やや回収率が低くなるので、押さえ馬券という位置づけになります。
14番人気以下は、ほとんど馬券にならないので、無視してよいかと思います。
18番人気の単勝回収率が271%になっていますが、これは2020年の中京記念でメイケイダイハードがシンガリ人気で大穴を開けたものであり、イレギュラーな数値なので、無視で良いかと思います。
▼では次に、阪神競馬場の重賞レースで、1番人気の狙いどころを探ってみたいと思います。
【阪神競馬場。芝重賞レース。1番人気の枠順別の単勝回収率】2010~2021年。240頭分析
110(%)
86
66
117
50
174
79
81
56
102
148
0
97
62
29
0
60
90
(※上から、1~18番枠)
はい。
阪神競馬場の芝の重賞レースで、1番人気の枠順別データを集計すると、上記のようになります。
▼1番人気馬の枠順の狙い目は、「1.2.4.6番枠」ということになります。
これは競馬の基本で、「内枠の偶数枠」というのは、競馬で最も有利な枠順になるので、ここに1番人気馬が入ると、回収率が高くなるわけです。
1番枠は、奇数枠ですが、最内は最も距離ロスが少なくなるので、強い馬にとっては、有利な枠順になります。
▼このように、阪神競馬場の重賞レースでは、1番人気が1.2.4.6番枠に入ったら、軸馬候補になります。
ちなみに、1番人気が大外枠に入った時の成績は、単勝回収率62%・複勝回収率107%です。
勝ち切れませんが、安定的に2~3着に来るので、阪神競馬場で1番人気馬が大外枠に入ったら、三連複や馬連の軸として狙っていくと、的中率と回収率が上がりやすくなります。
▼▼では次に、具体的なケーススタディを見てみましょう。
【朝日杯フューチュリティステークス2021年】
1着 ドウデュース(3番人気)
2着 セリフォス(1番人気)
3着 ダノンスコーピオン(4番人気)
三連複2350円
馬連1060円
はい。
このレースは、配当はやや低めでしたが、阪神競馬場の特徴が頭に入っていれば、簡単に馬券を的中できたレースでした。
▼まず、1番人気は、セリフォス。
前走で、同じ阪神コースのデイリー杯2歳Sを勝っており、コース実績は十分。
その上、先ほども書いたように、「1番人気が1.2.4.6番枠に入ったら期待値が高い」というデータ条件の中で、セリフォスは絶好の4番枠。
単勝オッズは2.4倍と、合成オッズ的にもギリギリ合格ラインなので、軸は迷わずセリフォスということになります。
▼相手ヒモ馬に関してもイージーで、単勝オッズを見れば、オッズ断層が確認できるので、断層までの馬をヒモに入れることになります。
ちなみに、単勝オッズを並べてみると、こうなります↓
2.4
3.2
7.8
9.7
20.1
20.6
22.7
こんな感じですね。
▼単勝オッズを並べてみると一目瞭然ですが、4番人気と5番人気の間に、大きなオッズ断層が出現しています。
このような場合、4番人気馬までの能力が高いと考えられるので、本命サイドで決着する可能性が高くなります。
▼従って、馬券構成は下記のようになります。
軸
1番人気セリフォス
相手ヒモ馬
2~4番人気
三連複(3点買い)
馬連(3点買い)
このような感じですね。
▼結果は、3番人気の武豊ドウデュースが中団から伸びて1着。
2着に軸馬の1番人気セリフォス。
3着に4番人気のダノンスコーピオンで、データ通り、オッズ断層までの決着となりました。
▼三連複は、3点で2350円(レース回収率783%)
馬連は、3点で1060円(レース回収率353%)
という感じで、利益率的にも合格ラインのレースでした。
▼このレースのポイントは、1番人気のセリフォスが4番枠と、阪神競馬場では期待値の高い枠順を引いたこと。
そして、相手ヒモ馬には、4番人気までのオッズ断層があったこと。
この2点に気づくことができれば、あとはシンプルな少点数の馬券構成で、簡単に三連複と馬連を的中できたレースだったわけです。
阪神コースは、基本的なデータで取れる馬券が多いので、個人的には予想がしやすい競馬場だと思いますね。