▼本日は、調教タイムの使い方について、当研究所の見解を書いてみたいと思います。
まず、結論から書いていきます↓
・調教タイムの掲載形式は、「助手-美坂-54.2-38.0-25.3-12.5-強めに追う」このような形。
・「助手」は、調教をつけたのが調教助手だったという意味。騎手が乗ることもある。
・騎手が調教をつけた場合は、調教タイムが速くなるので、その分、少し割り引いて考える。
・「美坂」とは、美浦の坂路のこと。栗東坂路もあるし、ウッドや芝やダートのコースでも調教が行われる。
・調教タイムで見るべき部分は、「全体のタイム」と「ラスト200mのタイム」
ではこの根拠について、具体的に解説していきましょう。
▼競馬新聞を読んでいると、必ず掲載されているのが、「調教タイム」です。
競走馬は、レースに出走する前に、必ず調教を積みます。
調教というのは、練習試合のようなもので、この調教での動きを見ると、本番のレースでの動きも見えてくるわけです。
▼競馬新聞における、調教タイムの掲載形式はこのような感じ↓
松山-栗坂-53.3-39.0-25.5-12.4-一杯に追う
こんな感じですね。
▼まず、いちばん左の「松山」は、調教に騎乗した騎手の名前です。
ただ、調教には騎手が乗ることもありますが、多くの場合は「調教助手」が調教をつけることになります。
この場合は、「助手」と書かれます。
▼助手より騎手の方が、基本的には体重が軽いので、騎手が調教をつけると、馬に気合いが入るケースが多いです。
なら、常に騎手が調教をつければいいのか?
これはそうでもなく、騎手が調教に乗ることで、馬が必要以上に力んでしまうケースがあるわけです。
馬は賢いので、騎手が調教に乗ると、レースが近いと感じ、馬によっては「イレ込む」という状態になりやすかったりする。
この場合は、調教助手が調教をつけることで、馬のテンションを微調整するわけです。
▼では次に、騎手の右側の「栗坂」
これは、栗東の坂路で調教が施されたという意味です。
坂路調教には、関西の栗東と、関東の美浦があります。
▼栗東坂路と美浦坂路は、同じ坂路調教ですが、タイムの見方はかなり違います。
栗東坂路と美浦坂路では、坂の傾斜角度も違うし、スピードの出方が違うわけです。
▼基本的には、美浦坂路はスピードが出にくく、栗東坂路の方が速いタイムが出ます。
栗東の坂路調教の場合は、51秒~52秒なら速い方。
この場合、回収率も高くなりやすいです。
▼この時のタイムの見方としては、「53.3-39.0-25.5-12.4」
この数字の一番左側の数字を見ることになります。
この場合は、「栗東の坂路で、53.3秒だった」という意味です。
▼具体的な坂路調教のタイムの中身としては、左の数字から順に、
4ハロン(800m)のタイム
3ハロン(ラスト600m)のタイム
2ハロン(ラスト400m)のタイム
1ハロン(ラスト200m)のタイム
このような感じになります。
▼坂路調教でよく見る数字のポイントとしては、
「一番左(坂路全体のタイム)」
「一番右(ラスト200mのタイム)」
この2つが重視されています。
ラスト200mをチェックすることで、最後までしっかり伸びているかどうかを判断するわけですね。
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調教コメントの見方
▼調教タイムの見方についての考察を続けます。
先ほどの続きです。
調教タイムの最後に掲載されている、「一杯に追う」
これはどういう意味なのか?
▼これは、調教をつけた調教助手や騎手が、どのような強度で調教を行ったかの記録です。
一杯に追うということは、全力で調教をつけたということ。
つまり、馬に最大級の負荷をかけたわけです。
▼このコメントを見ることで、その調教がどのような強度で行われたかが分かります。
調教コメントの例としては、
「一杯に追う」
「馬なり余力」
「末一杯追う」
「末強め追う」
「強めに追う」
「叩き一杯」
このような感じ。
「馬なり余力」というのは、馬の気分に任せて走らせている状態です。
余力残しで調教を終わらせたという感じになります。
軽めの調整ですね。
▼「末一杯追う」というのは、ラスト200mなど、最後だけ一杯に追うという意味です。
前半は馬なりで、後半に調教助手や騎手が、激しく追う調教になります。
▼「末強め追う」は、最後だけ強めに追う調教。
「叩き一杯」は、ムチを入れて激しく馬を追い込む調教になります。
▼このように、競馬新聞を見て、調教タイムとコメントから、その馬の調教状態がわかるわけです。
では、ここからさらに一歩進んだ見方をしてみましょう。
「馬体重」や「休み明け」と、調教タイムの併用をしてみます。
▼例えば、「休み明けなのに、妙に調教が軽い」
このようなケースがあります。
通常、サラブレッドは休み明けの場合は馬体重が増えるので、調教も強めや一杯に追われるケースが多いです。
しかし、休み明けであるにもかかわらず、ずいぶん調教が軽いな、と感じるときは、少し要注意です。
▼「馬が放牧から、ガレて帰ってきた」
という表現がありますが、本来、疲れを抜くための放牧なのに、放牧する事で、逆に体重が減る場合があるわけです。
これは環境の変化や、ストレス状態などの原因によります。
▼このような場合、休み明けでも馬体重が増えていないので、調教は軽めになります。
そしてこの場合は、休み明けにもかかわらず、リフレッシュできていないケースが多いので、馬券的にはあまり狙いたくない馬になるわけですね。
このような「調子の悪そうな馬」を、調教タイムから見抜くことができるわけです。
▼▼基本的に、休み明けの馬は、プラス体重が普通です。
休み明けの場合、多少、馬体重が増えるのは自然なことなので、プラス体重でも、特に割引きする必要はないと思われます。
ただ、「休み明けでマイナス体重」の場合は、注意が必要です。
▼上述した通り、放牧というのは、馬をリフレッシュさせて体をふっくらさせるためのものですから、プラス体重になるのが普通です。
しかし、放牧したにもかかわらず、馬体重がマイナスになっている場合。
この場合は、調整失敗の可能性があるわけです。
▼パドックで馬体重を見て、マイナス体重だった場合は、同時に調教をチェックします。
調教を見て、しっかり強めの調教ができている場合は、休み明けでも仕上がっていると見て、勝負可能になります。
▼しかし逆に、パドックでマイナス体重。調教も軽め。
このような状況の場合は、馬のコンディションが整っていないケースが多いわけです。
この場合、私ならその馬の評価は少し下げます。
▼ただし近年は、外厩制度の影響で、休み明けの馬でも普通に能力を発揮することができるようになりました。
外厩とは、牧場で放牧と同時に、調教も行うシステムのことです。
このシステムが発達したおかげで、競走馬は疲れを抜くと同時に、調教もできるので、休み明けが不利にならなくなったわけです。
▼そしてこの外厩が、休み明けの取捨選択を難しくしている面があります。
なぜかというと、競馬新聞には、外厩での調整状況は掲載されないからです。
▼休み明けで、帰厩してからの調教も少ない。
これでは走るわけがないと思っても、実は牧場の方でしっかり乗り込まれているというパターンが多いわけです。
ノーザンファームの馬は、このパターンでG1をいくつも勝っています。
▼外厩を無視して休み明けを判断してしまうと、馬の調整状態を見誤ります。
今までの休み明けであれば、明らかに「軽すぎる」調教であっても、外厩を利用すれば、十分な調教量になってしまう。
外厩制度に関しては賛否両論ですが、私達競馬ファンからしてみると、予想が難しくなっている印象です。
▼なので、ノーザンファーム生産の馬に関しては、特に休み明けという意識を持たず、使われてきた馬と同等の評価を与えた方が良いかもしれません。
外厩を利用した馬は、調教師のコメントなどでも、「8割の仕上がり」というコメントが出るわけですが、これはアテになりません。
それくらい、外厩での調整というのは、現代競馬において強力なアドバンテージになっているわけです。
▼▼では次に、具体的なレースを見ながら、調教や臨戦過程を活用するケースを考えてみましょう。
【宝塚記念2021年】
1着 クロノジェネシス(1番人気)
2着 ユニコーンライオン(7番人気)
3着 レイパパレ(2番人気)
馬連2780円
三連複2200円
はい。
このレースは、競馬初心者さんでも簡単に、馬連と三連複が的中できたレースでした。
特に、調教タイムと臨戦過程からのアプローチで的中できたレースなので、少し詳細に見てみましょう。
▼まず、1番人気は、グランプリ3連覇がかかる、牝馬のクロノジェネシス。
ドバイシーマクラシックからの直行で、馬の体調がどうなのか、というところが最大のポイントでした。
▼クロノジェネシスは、レース間隔が空いていたので、ここをどう判断するか。
クロノジェネシスは、ノーザンファームの生産馬。
なので、休み明けでも、外厩によってしっかり仕上がっていることが予想される。
鞍上は、G1レースにめっぽう強いルメール騎手で、宝塚記念は牝馬が強い。
データ的にも問題なく、軸はクロノジェネシスで良いということになります。
▼次に、2番人気のレイパパレ。
大阪杯を逃げ切って、6連勝中。
宝塚記念に強い、牝馬。
こちらも少しレース間隔が空いており、馬のコンディションに注目が集まるところでした。
▼レイパパレの栗東坂路での当週の調教タイムは、
「51.6-37.9-24.9-12.3」と、素晴らしい好時計。
この馬もノーザンファーム生産馬で外厩の恩恵を受けており、レース間隔が空いていても、しっかり仕上がっていることが予想される。
従って、レイパパレを馬連の相手、そして三連複の軸とします。
▼次に、相手ヒモ馬の選定ですが、これは簡単です。
出走頭数が13頭の別定戦なので、相手ヒモ馬は、4~9番人気を中心とします。
通常、重賞レースでは13番人気くらいまで期待値が下がらないものですが、出走頭数13頭の場合は、10番人気以下の期待値は下がるので、4~9番人気でヒモを構成します。
▼結果、馬連は2780円とまずまずの好配当。
2着に7番人気の人気薄ユニコーンライオンが逃げ粘ってくれて、いい配当になりました。
ユニコーンライオンは、当週の栗東坂路調教のタイムが、
「53.2-38.2-24.1-12.0」と、まずまずの時計。
休み明けではなく、使われてきたことを考えると、調子は良いと判断できます。
このように、2021年の宝塚記念は、臨戦過程と調教タイムで、簡単に馬券を的中できたレースだったと言えます。
▼▼では、次のケーススタディを見てみましょう。
【毎日杯2022年】
1着 ピースオブエイト(4番人気)
2着 ベジャール(9番人気)
3着 ドゥラドーレス(1番人気)
三連複12930円
はい。
このレースも、外厩・調教タイム・臨戦過程から、比較的簡単に万馬券を的中できるレースでした。
▼まず、1番人気はドゥラドーレス。
デビューから2連勝。共に楽勝という逸材。
レース間隔を広めに取っていますが、ノーザンファーム生産ということで、外厩制度を活用し、調整に抜かりはない。
重賞レースで勝負弱い、戸崎騎手がやや不安ですが、10頭立てで強い馬が能力を発揮できる条件なので、3着以内は堅いと見て、この馬を三連複の軸とします。
▼10頭立てなので、買い目点数を増やしてしまうと、合成オッズが下がって回収率も下がってしまう。
なので少頭数のここは、「三連複軸2頭」の形で馬券を構成していきます。
1頭目の軸はドゥラドーレスで決まったので、あと1頭探すだけです。
▼2番人気のリアドは、取引価格5億円以上という超高額馬で、マスコミでも話題になっていました。
ただ、前走の若駒Sは、リューベックに簡単に逃げ切りを許しており、勝負根性という面で疑問が残る。
超高額馬で、過剰人気になりやすいという点も、馬券的には狙いにくい。
ということで、リアドは見送ります。
▼では次に、3番人気のテンダンス。
前走で1勝クラスを勝っていますが、重賞レースは2回走って連対なし。
非社台の馬ということで、調教状態も読みにくい。
ということで、テンダンスも見送ります。
▼次に、4番人気のピースオブエイト。
ノーザンファーム生産馬で、外厩をフル活用している馬。
前走も、レース間隔34週間という長期休み明けでしたが、外厩で乗り込み、きっちりと勝利。
まだ負けていないという点と、2戦とも上がり最速という点も魅力で、この馬を2頭目の軸馬とします。
▼三連複の2頭の軸が決まったので、あとは相手ヒモ馬を選ぶだけ。
10頭立ての少頭数なので、特に難しく考えることもなく、5~9番人気の5頭でOKです。
2~3番人気馬は、人気サイドなのでカット。
10番人気馬は、少頭数では期待値が低くなるのでカットします。
▼馬券構成は下記の通りです↓
三連複軸2頭(5点買い)
軸2頭
1番人気ドゥラドーレスと4番人気ピースオブエイト
相手ヒモ馬
5~9番人気(5頭)
という感じですね。
▼結果は、ノーザンファーム生産の無敗馬が、1.3着となり、2着には9番人気のベジャール。
ベジャールは、当週の坂路調教で、「53.6-39.0-25.5-12.5」の好タイムを出しており、調教面からも狙える馬でした。
5点買いで、12930円の配当ということで、レース回収率は2586%と大勝ち。
調教タイムは、意外と見ている競馬ファンが少ないので、予想ロジックに加味することで、このように大きな配当を手にすることができるわけですね。