▼本日は、JRAの陰謀論について、当研究所の見解を書いてみたいと思います。
まず、結論から書いていきます↓
・JRAの陰謀説は、妄想でしかない
・JRAは、馬券の売上さえ上がれば儲かる組織である。結果がどうなっても関係ない
・したがって、JRAが勝ち馬を操作したり、波乱を演出したりすることは、基本的にはあり得ない
・競馬の結果を操作したからといって、JRAの利益が増えるわけではない
・ただ、競馬人気を盛り上げるようなスターホースに、JRAが好枠などを与える可能性はある
・また、JRAではなく、内部の関係者が不正を行う可能性はある(ヤリ・ヤラズ・インサイダー投票など)
ではこの根拠について、具体的に解説していきましょう。
▼競馬ファンの間で、定期的に勃発する議論として、「JRAの陰謀説」があります。
つまり、「競馬のレースは八百長だ!」とか「JRAが特定の馬を勝たせようとしている!」「出来レースだ!」
このような論調ですね。
果たしてこれは正しいのか?
▼この結論を導くにあたって、私が思う大前提を最初に書いておきます。
前提条件
『JRAは、売上を増やすことが目的の組織である』
はい。
まずは、これが絶対条件になります。
▼JRAは、馬券の売り上げを増やすために、様々な工夫をしたり、広告宣伝したりするわけです。
中央競馬というのは、馬券の売り上げからJRAが控除率(テラ銭)を天引きしていくことにより、運営が成立します。
なので、JRAとしては、売り上げが増えればOK。
どの馬が勝とうが、JRAは売り上げさえ増えれば、テラ銭は確定しているのです。
▼そう考えると、「JRAが意図的に勝ち馬を操作している!」というのは、ちょっとどうなのかなと。
上述したように、JRAは売り上げさえ増えれば儲かるわけです。
どの馬が勝とうが関係ない。
とにかく全体の馬券売り上げを増やすことが、JRAの至上命題なわけです。
▼では、JRAが特定の馬に便宜を図り、その馬を勝たせる事は、馬券の売り上げにつながるのか?
これについては、基本的には「NO」だと思います。
競走馬にはそれぞれのファンがついており、特定の馬を勝たせることによって、全体の馬券売上高が増えるということはあり得ない。
▼ただ、オグリキャップやディープインパクト・キタサンブラックのように、圧倒的にカリスマ性のある馬というのも存在します。
この場合、その馬を勝たせることによって、競馬人気が盛り上がるのであれば、馬券の売り上げは増加するということになります。
▼キタサンブラックに関しては、「内枠ばかり引く」というのが話題になりました。
これがJRAの陰謀なのかどうかはわかりませんが、キタサンブラックが勝ちやすい状況を作ることによって、競馬人気を盛り上げようとした可能性はあるのかもしれません。
▼ただ、競馬というのは興行ですから、ファンが盛り上がるような方向に持っていくのは、ある意味当然なのかなと。
どんなに内枠を与えても、走るのは馬だし、他の馬が手加減するということもないです。
スターホースに有利な枠を与える、という可能性はあるにしても、勝つかどうかは、その馬の実力次第。
そういう意味では、競馬に八百長はないと言えます。
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▼競馬ファンの最終目標である「年間プラス収支」
これを達成するためには、馬券知識を身につけるしかない。
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不公平な高速馬場はヤラセなのか?
▼八百長・出来レースについての考察を続けます。
先ほどの続き。
JRAは、公正競馬の範囲内で、できるだけ馬券の売り上げが伸びる施策を行ってくる。
これも見方によっては、JRAの陰謀と捉えることもできるわけです。
▼例えば、「高速馬場」
最近は、G1シーズンに、極端な高速馬場になることが多く、特殊な高速馬場によって、勝ち馬が限定されているレースが多くなっています。
高速馬場になった時点で、外枠の馬や、追い込み馬は勝ち目がなくなってしまうわけです。
▼ただ、これをJRAの陰謀としていいものか?
JRAが、G1の週に高速馬場にするのは、レコードタイムを演出して、日本の競馬レースの世界的なレーティングを上げるためと考える方が自然です。
▼JRAとしては、競馬が盛り上がって売り上げが伸びればいいわけですから、高速馬場にすることによって、特定の馬に有利な状況を生み出したところで、売り上げとは関係ないわけです。
なので、高速馬場も八百長とは違う。
▼結局のところ、「JRAの陰謀だ!」「八百長だ!」と騒いでいる人の多くは、自分が馬券を外した事の腹いせだったりします。
馬券が的中して、めちゃくちゃ儲かった人が、「八百長だ!」と怒る事は無いわけです。
馬券を外して大損した人が、ぶつけるアテのない気持ちを、「八百長だ!金返せ!」という形に変えて、怒っているわけです。
▼ここまで書いてきたとおり、JRAは売り上げさえ増えればそれで良い。
競馬人気に影響を与えるようなスーパースターホースを除き、どの馬が勝っても関係ないわけです。
したがって、JRAが勝ち馬を操作するという線は薄い。
▼競馬が八百長だと思っている人は、断然人気馬が負けたら、JRAが大儲けすると思っていたりするわけです。
これはもう、根本的に競馬のシステムを理解していない。
JRAは、断然人気の馬が勝とうが、大穴の単勝万馬券が出ようが、馬券の売り上げが上がった時点で、利益を天引きしているわけです。
▼ただ、先ほども書いたように、競馬人気を左右するようなスーパースターホースに有利な枠順を与えたり、有利な馬場を作ってくる可能性は否定できない。
でもこれは八百長とは違いますね。
お膳立て、という感じでしょうか。
もしそうだとしたら、私たちはそれを読んで馬券に繋げていけばいいだけなのです。
▼▼最近で言えば、アーモンドアイも内枠が多い馬です。
アーモンドアイは、3歳のクラシック時は、内枠が当たらなかったんですが、3冠馬になって人気になると、ジャパンカップ1番枠・天皇賞秋2番枠と、あからさまに内枠ばかり当たるようになりました。
これはどういうことなのか?
▼枠順は公正な抽選、と言われていますが、スターホースが極端な枠順に入るケースは、枚挙に暇がありません。
なので、ここまで書いてきたとおり、JRAは枠順に関しては、完全な抽選というわけではないのかもしれない。
馬券の売り上げが、より多くなるように、特定の馬を、特定の枠順に入れる可能性はあります。
▼だからと言って、「JRAは不正をやっている!」とか怒っても、何の意味もないわけです。
JRAが枠順を操作したなら、私たちはその枠順が意図するものを読み取って、馬券につなげていけばよい。
私たちは、馬券で利益を出すことができれば、どの馬がどの枠に入っても関係ないわけです。
▼まぁ、馬券は関係なしに、純粋なスポーツとして競馬を見ているなら、枠順の操作は憤りを感じますね。
「いったいどの馬が1番強いのか?」という観点で競馬を見ているなら、枠順の操作は本当に邪魔です。
▼しかしながら、競馬というのは、ファンが馬券を購入しないと成立しないスポーツなわけです。
野球やサッカーとは違う。
競馬というのは、馬券の売上がなければ成立しないんです。
そう考えると、興行主であるJRAが、馬券の売り上げが増えるようにルールを調整することは、理にかなっているとも言えます。
▼ちなみに、「サイン馬券」というのもありますね。
サインというのは、その時々にあったニュース等を裏読みして、馬券につなげていく予想手法です。
このサイン馬券を信じている人は、JRAが時事ネタに合わせて、レースの着順を決めていると思っています。
しかし、ここまで読んできたあなたはわかると思いますが、サイン馬券は無理があります。
▼JRAは、時事ネタに合わせて着順を調整しても、自分達には何のメリットもないからです。
ここまで何度も書いてきたように、日本中央競馬会の目的は、馬券の売り上げを増やすことです。
そう考えると、サイン馬券や裏読み馬券に合わせて、JRAが着順を調整することには、何の意味もないことが分かります。
▼▼要するに、JRAの陰謀説がいつの時代も噂になるのは、
「JRAが不当に利益を得ている!」
「競馬ファンがJRAに搾取されている!」
という考えから来ています。
競馬ファンは、自分が馬券で負けた時、「JRAが競馬ファンのお金を奪っている!」と考えてしまいがちなんですね。
▼ただ、ここまで書いてきた通り、その考え方は全然違います。
JRAは、競馬ファンのお金を奪っているどころか、むしろ常に競馬ファンのためにサービスすることを考えています。
そのほうが売り上げが増えるからね。
▼JRAが取るのは、平均控除率の25%だけです。
そして、残りの75%を、馬券を購入した競馬ファン同士で奪い合う。
これが競馬というゲームの本質です。
この本質が分かっていれば、JRAの陰謀説が、どう考えてもおかしな考え方であることがわかります。
▼では次に、「八百長レース」は、あるのか?について考えてみましょう。
ある馬が、わざと負けたり、騎手がゴール前で追うのをやめたりすることがあります。
これはなぜか?
▼これはおそらく、「勝ってしまうと困る事情がある」
オーソドックスな考え方としては、
「勝ってしまうとクラスが上がり、相手が強くなり、お金が稼げなくなるので、今のクラスのままで、2~5着くらいを繰り返して、賞金を稼ごう」
というものがあります。
競馬の場合、勝ってしまうとクラスが上がって相手が強くなってしまうので、「わざと勝たせない」という作戦を取る可能性はあります。
▼いわゆる、「ヤラズ」ですね。
これはよくある現象になります。
善戦マンと呼ばれる馬は、真剣に走っても勝ち切れないタイプもいますが、陣営がわざと勝たせていないケースもあるわけです。
▼ただ、これを八百長と言うかどうかは微妙ですね。
戦略的に2~5着を狙うのは、競馬においては作戦の1つだからです。
例えば、明らかに力の劣る馬に騎乗した時、あえて勝ちに行かず、「着拾いの競馬」をすることがありますね。
これは八百長かと言われると、戦略のような気もします。
▼それから、「あえて人気馬を負けさせる八百長レース」
これは非常に判断が難しいです。
例えば、関係者が密かに、「その人気馬を外した馬券を購入していた」として、人気馬を負けさせることで、自分たちが馬券で利益を得ようとする。
このようなことが、全くないとは言い切れない。
ただこれに関しては、非常にレアケースだし、それを証明することもできないので、仮説の域を出ませんね。
▼▼このような、あからさまな八百長は、中央競馬ではほとんど見られないと思います。
ただ、地方競馬では、暗黙のルールとして八百長が行われているケースもあったようです。
例えば、断然人気の馬に不安情報がある場合、その情報を入手した関係者が、自分の家族などに馬券を買わせたりするわけです。
これはいわゆる「インサイダー情報」で、不正ですね。
▼地方競馬は、中央競馬と比べて、不正が多くなりやすい印象です。
地方競馬では、「異常オッズ」が頻繁に出現します。
単勝1.2倍の馬がいるのに、馬連や三連単のオッズは、単勝1.2倍の馬があまり売れていなかったり。
現在は、地方競馬も公正な競馬になってきたようですが、昔は八百長が当たり前のように行われていたようです。
▼ただこれは、地方競馬の話で、中央競馬(JRA)ではこのような八百長はあまり聞きません。
まぁ中央競馬の場合は、売上総額が大きいので、もし一部の関係者が不正に馬券投票しても、オッズが動きにくいので発覚しづらい、という面はあるかもしれません。
▼このように、調教師や関係者が、手に入れたインサイダー情報によって、馬券で不正に利益を得ようとする可能性は否定できません。
ただ、胴元であるJRAが八百長を行っている可能性というのは、ほぼ0%だと思います。
理由は上述した通り、JRAは八百長を行っても、儲かるわけではないからです。
▼ちなみに一昔前は、上述したような関係者の不正なインサイダー投票を見極める手法がありました。
例えば、「朝のオッズで異常オッズを見極めて、それに乗っかる」という手法ですね。
不正を行っている関係者は、朝一で大口投票を行うことが多かったので、そこで見極めることができたわけです。
ただ現在は、PAT投票が主流なので、インサイダー投票を行うとしても、発走時間ギリギリに馬券購入するため、異常オッズを見極めるのは難しいと思います。
▼まぁこのように、JRAの陰謀説は現実的ではありませんが、一部の関係者がインサイダー投票をしている可能性はあります。
ただ、それを見極める事はできないので、私たちはそのような不正を気にしても仕方がないということになります。
中央競馬は、地方競馬と比べると、不正が極めて少なく、フェアなゲームになっているので、私たちは純粋に「期待値の高い馬」を探し出し、正当な戦略で利益を出す事を考えていくべきですね。