▼本日は、馬体重の増減について、当研究所の見解を書いてみたいと思います。
まず、結論から書いていきます↓
・基本的には、馬体重が増減していない馬を狙うのが無難。
・重賞レースでは、馬体重が減っている馬よりも、馬体重が増えている馬の方が成績が良い。プラス体重を狙う。
・これは、外厩制度の発達により、休み明けの馬の好走確率が上がったことも一因。
・ただ特別戦では、馬体重が増えている馬よりも、馬体重が変動していない馬の方が成績が良い。
ではこの根拠について、具体的に解説していきましょう。
▼中央競馬では、レースごとに必ず馬体重が発表されます。
馬体重の増減は、その馬のコンディションを見極めるのに重要な要素であり、馬券収支をプラスにするためのポイントでもあります。
▼馬体重の見方としては、「前走との比較」が基本になります。
ベスト体重というのは、それぞれの馬によって違っているので、その馬の前走の馬体重と、今回の馬体重を比較するのが、最も自然なんですね。
▼競馬中継などを見ていてもわかると思いますが、その馬の馬体重は、必ず前走との比較によって示されています。
馬体重が、前走より増えているのか?前走より減っているのか?
まずは、ここに注目します。
▼馬体重を見る上で、最も無難な馬は、「前走から増減なしの馬」
これは買いやすいです。
データ的にも、特にデメリットはなく、まずは馬体重が増減していない馬を狙うのが基本になります。
▼問題は、前走から大きく馬体重が増えすぎたり、減りすぎたりしている馬。
このようなタイプは、凡走する可能性が高くなります。
太りすぎは「太め残り」
減りすぎは「ガレ気味」
どちらも、全力疾走するサラブレッドにとっては、マイナス材料になるケースが多いです。
▼なので、軸馬に迷ったら、基本的には馬体重が増減していない馬を狙うのが良い。
ただ、馬体重が大きく増減していても、狙えるケースがあります。
▼例えば、馬体重が増えている場合でも、「成長分」という考え方があります。
若い馬の場合、日に日に体は大きく成長するので、自然と馬体重も増えていくケースがあるわけです。
これは太め残りではなく、成長分なので、ナチュラルな馬体重増加と言えます。
▼成長分なのか、太め残りなのかを見極めるのは難しい部分はありますが、競馬新聞などの陣営のコメントは参考になります。
私は、あまり競馬新聞で馬券を購入することはないんですが、馬体重に関わるコメントは、意外と信用できると思っています。
調子の良し悪しに関するコメントは、あまり信用していませんが、馬体重については、毎日馬の世話をしている専門家のコメントは、非常に興味深いです。
▼それから、馬体重が減っている場合でも、「究極の仕上がり」という可能性もあります。
競走馬の場合、ギリギリまで馬体重を絞り込んだ方が、最高のパフォーマンスを発揮できるケースがあります。
なので、大きく馬体重が減っていても、それは究極的に仕上がった状態の可能性があるわけです。
ガレ気味か、究極の仕上がりかを判断するのも難しいんですが、これについては、パドックを見ると分かりやすいと思います。
明らかにガレ気味の馬と、究極の仕上がりの馬では、素人が見ても比較的わかりやすい差があると思うわけです。
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▼競馬ファンの最終目標である「年間プラス収支」
これを達成するためには、馬券知識を身につけるしかない。
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馬体重はプラスマイナス何キロまで狙えるか?
▼馬体重が増えるケース・減るケースについての考察を続けます。
ここでは、具体的なデータについても見てみたいと思います。
▼まず、2016年からの過去4年程度の重賞レース。
データ条件を少しひねって、「前走の馬体重の増減」を見てみましょう。
注目はこの部分↓
・前走馬体重-20キロ以上⇒単勝回収率0%
・前走馬体重+20キロ以上⇒単勝回収率0%
はい。
過去4年間弱の重賞レースで、前走馬体重が20キロ以上増減している馬は、1頭も勝っていない。
連対率も極端に悪く、ハイレベルな重賞レースでは、大幅な馬体重の増減は歓迎材料ではないということですね。
▼次に、少し条件を緩和してみます↓
・前走馬体重-19~-10キロ⇒単勝回収率46%
・前走馬体重+10~+19キロ⇒単勝回収率51%
はい。
先ほどより、かなりマシになりました。
前走馬体重の増減が、プラスマイナス10キロ台の場合は、プラマイ20キロ以上の時より、かなり成績は改善されています。
▼それでも、単勝回収率50%程度しかないので、このゾーンもあまり狙いたくない感じ。
ちなみに、複勝回収率も見てみましょう↓
・前走馬体重-19~-10キロ⇒複勝回収率62%
・前走馬体重+10~+19キロ⇒複勝回収率71%
はい。
かなり平均値に近づいてきました。
それでも、やはり低いですね。
複勝回収率は、馬連や三連複の軸馬選びに重要な数字になります。
この程度の数字だと、ちょっと軸馬には向かない感じです。
▼では次に、重賞レースで最も単勝回収率が高い馬体重の条件について↓
・前走馬体重-9~-4キロ⇒単勝回収率83%
はい。
「前走で、やや馬体重マイナス」くらいが、最も単勝回収率が高くなります。
これは私が先ほど書いたように、「究極の仕上がり」に近い状態と思われます。
▼重賞レースで勝ち切る馬は、少し馬体重が減っているくらいの、しっかり仕上がった馬が多いということになります。
ただ、複勝回収率で見ると、70%しかない。
複勝回収率が高いのは、「+4~+9キロのゾーン」なんですね。
究極の仕上がりは、うまくいけばめちゃくちゃ強い競馬を見せますが、「仕上がりすぎてイレ込む」というリスクがあるので、安定感で言えば、少し馬体重が増えている馬の方が、安定はすると思います。
▼▼では次に、データ範囲を少し変えてみます。
2015年から2019年までの重賞レース。
今回は、「今走の馬体重の増減」
連対率のデータを見てみましょう。
12.0%
9.2%
12.9%
13.9%
14.9%
14.4%
19.1%
はい。
下に行くほど馬体重が増えていることになります。
▼このデータを見ると、馬体重はプラスに増加しているほど、連対率は上がるということになる。
近年は、外厩のシステムが高度に発達しており、休み明けの馬が、一見太め残りで出てきても、圧勝してしまうケースが増えました。
▼そのような観点で考えていくと、現代競馬は、マイナス体重よりプラス体重の方が狙いやすいということになるのかもしれません。
近年は、重賞レースでも、+20キロ以上の馬が最も連対率が高くなっています。
▼「外厩制度」というのは、放牧中に牧場で乗り込まれるシステムのことです。
従来は、放牧というのは疲れを抜くためのものであり、調教は厩舎に戻ってきてから、というのが常識でした。
だからこそ、休み明けで太め残りの馬は、好走確率が下がったわけです。
しっかり調教が積まれていなかったからですね。
▼しかし現代は、放牧中でも牧場に広大な調教施設があり、「放牧して疲れを抜きながら調教する」ということが可能になりました。
その結果、馬体重はマイナスよりもプラスの方が好走確率が上がる、という状態になってきたわけです。
▼ただ、この傾向は、あくまでも重賞レースに限定した傾向です。
同じ期間の「特別戦」のデータを見てみましょう。
2015年から2019年までの特別戦。連対率のデータです。
6.8%
11.2%
14.6%
15.3%
15.9%
13.9%
12.7%
はい。
これも先ほどと同様、下に行くほど馬体重が増えている表になっています。
▼特別戦のデータを見たところ、まず極端に馬体重が減っている馬は、非常に連対率が低くなっています。
そして、最も好走確率が高いのは、馬体重があまり増減していない馬なんですね。
▼このことから、重賞レースでは馬体重が増えている馬を狙うと良い。
しかし、特別戦ではあまり馬体重が増減していない馬を狙うほうが良いということになるわけです。
この傾向も、今後変化していくかもしれませんが、現状ではそのような傾向になっていると考えられます。
▼▼では次に、またデータ期間を更新して、馬体重が増えている場合のデータを見てみましょう。
【重賞レース。馬体重が増えている場合の回収率】2016~2021年
馬体重+20キロ以上⇒単勝回収率187%・複勝回収率118%
馬体重+10~+19キロ⇒単勝回収率65%・複勝回収率64%
はい。
過去5年半の重賞レースにおいて、極端に馬体重が増えている場合の回収率は、上記のようになります。
▼まず、大幅に馬体重が増えている場合。
+20キロ以上のケースですが、単勝回収率・複勝回収率ともに、大幅にプラスになっています。
これを見ると、重賞レースでは、馬体重が増えていればいるほど儲かる、と考えたくなりますが、そう簡単ではありません。
馬体重+20キロ以上では、大幅プラスになっていますが、馬体重+10~+19キロでは、回収率は60%台と低迷しているからです。
▼このデータ範囲で考えると、「重賞レースで、馬体重+20キロ以上は狙える」ということになります。
先ほど、連対率のデータを見ましたが、基本的に馬体重は、増えていればいるほど、連対率が上がります。
重賞レースでは、馬体重が減っている馬より、馬体重が増えている馬の方が、好走確率が上がるということです。
▼そして、馬体重+20キロ以上は回収率が高くなるわけですが、ここで注意点があります。
それは、「前走、馬体重+20キロ以上だった馬は、今走で凡走しやすい」という点です。
具体的なデータを見てみましょう。
【前走、馬体重+20キロ以上だった馬】2016~2021年
単勝回収率112%・複勝回収率35%
はい。
単勝回収率はプラスなので、一見、儲かるように見えますが、これは2019年の京都大賞典で、11番人気のドレッドノータス(単勝9070円)が勝ったからです。
ドレッドノータスを除外して考えると、単勝回収率5%・複勝回収率15%と、ひどい成績になってしまいます。
▼このことから言える事は、「前走を+20キロ以上で激走した馬は、今走で反動が出て惨敗しやすい」ということになります。
あくまでも、2016~2021年の範囲での結果ですが、基本的な傾向は今後も変わらないかと思います。
重賞レースで狙う場合、「今走が+20キロ以上」ならいいですが、「前走で+20キロ以上だった馬」は、期待値が低くなりやすいので、あまり積極的には狙いたくないところです。
▼▼さてここまでは、重賞レースでの馬体重の増減について見てきました。
では次に、「平場」のレースについてのデータを見てみましょう。
平場というのは、レース名がついていないレースで、主に第1レースから第8レースまでに組まれることが多いです。
【平場レース。馬体重の増減データ】2017~2022年。187813頭分析
連対率
~-20キロ 4.8%
-19~-10キロ 10.8%
-9~-4キロ 14.1%
-3~+3キロ 15.2%
+4~+9キロ 14.5%
+10~+19キロ 12.5%
+20キロ~ 11.7%
初出走 13.3%
はい。
平場のレースにおける、馬体重の増減ごとの連対率は上記のようになります。
▼まず、平場において、最も連対率が高いのは、-3~+3キロのゾーン。
つまり、馬体重が前走から変動していない馬、ということになります。
平場のレースでは、できるだけ前走から馬体重が増減していない馬を選んでいくと、的中率が高まるということになります。
▼逆に、-20キロ以下や、+20キロ以上ということになると、連対率が大きく下がります。
特に、-20キロ以下の場合は、連対率が4.8%しかありません。
平場のレースでは、馬体重が-20キロ以下の馬は、消去の対象ということになります。
▼一方、馬体重が+20キロ以上の馬は、連対率11.7%。
-20キロ以下の馬よりは、大分マシですが、それでも馬体重が変動していない馬と比べると、大きく連対率は下がります。
▼では次に、単勝回収率のデータを見てみましょう。
【平場レース。馬体重の増減データ】2017~2022年
単勝回収率
~-20キロ 単勝回収率29%
-19~-10キロ 単勝回収率67%
-9~-4キロ 単勝回収率73%
-3~+3キロ 単勝回収率69%
+4~+9キロ 単勝回収率73%
+10~+19キロ 単勝回収率74%
+20キロ~ 単勝回収率86%
初出走 単勝回収率71%
はい。
連対率では、馬体重が増減していない馬の成績が最も良かったわけですが、単勝回収率では、馬体重が増減していない馬は、あまり良い成績になっていません。
▼その一方で、馬体重+20キロ以上の馬は、単勝回収率86%と優秀な数字になっています。
馬体重+20キロ以上の馬は、連対率が低かったのに、なぜ単勝回収率は高いのか?
それは、馬体重+20キロ以上の馬は、大幅な馬体重の増加が嫌われて、あまり馬券が売れないからです。
要するに、馬体重が増えすぎている馬は、競馬ファンに嫌われて馬券が売れず、オッズが上がるわけです。
なので、平場のレースにおいては、馬体重+20キロ以上の馬は、意外と回収率が上げやすい馬であると言えるわけですね。