競馬は騎手で買う

▼本日は、騎手買いについて、当研究所の見解を書いてみたいと思います。

まず、結論から書いていきます↓


・騎手の成績をデータ分析し、プラス回収になるポイントで勝負する「騎手買い」は、有効な戦略である。

・例えば、芝の重賞レースで回収率が高い騎手は、ルメール騎手。芝重賞レースでルメール騎手を中心に馬券購入すると、利益を出しやすい。

・ルメール騎手は、ダートでは2~3着が多く、1着固定より、馬連や三連複の軸とした方が、利益を出しやすい。ダートより芝向き。

・それに対して、Mデムーロ騎手は、ダートの回収率が高いので狙い目。

・日本人騎手では、川田騎手の回収率が高い。

・武豊騎手は、最も有名な騎手だが、回収率的にはそれほど高くない。過剰人気になりやすいため。



ではこの根拠について、具体的に解説していきましょう。



▼競馬には、様々なアプローチ手法があります。

タイム・血統・調教師・データ・パドックなどなど。

そして、「騎手」も重要なアプローチ手法の1つです。



▼騎手には、それぞれに特徴があり、得意条件や苦手条件があります。

これらの条件をデータ分析し、プラス回収になるポイントで勝負するのが、いわゆる「騎手買い」です。



▼まあ、騎手だけを見て、馬券収支がプラスになる可能性は低いわけですが、1つの武器にはなります。

あるいは、勝負の場面を限定していけば、騎手買いだけでも、長期回収率をプラスにすることも可能です。



▼まず、過去のデータを見てみましょう。

2016年からの重賞レース、過去4年程度の騎手データです。

まず使えそうなのはこのデータ↓


・ルメール騎手。芝重賞レース。⇒単勝回収率122%・複勝回収率92%


はい。
現在、中央競馬で最も儲かる騎手。ルメール。

ルメール騎手は、芝の重賞レースにめっぽう強く、この条件だけで単勝馬券を購入していくと、過去4年程度で単勝の回収率122%という、驚異的な数字になっています。



▼要するに、「芝の重賞レースで、ルメール騎手の単勝か、三連単・馬単の1着固定を狙っていけば、プラス収支にしやすい」ということになります。

これは最もシンプルなアプローチ手法ですね。

芝の重賞レースを購入する人も多いと思うので、このデータは頭に入れておいてください。

参考記事
 ↓
ルメール騎手の買い方



▼ルメール騎手は、複勝回収率も92%あります。

なので、三連単や馬単の1着固定だけでなく、三連複や馬連の軸馬としても、儲けやすい騎手になります。

簡単に言えば、「芝の重賞レースは、ルメール騎手を中心に考える」というだけでも、回収率は上がりやすいと思います。



▼ちなみに、芝の重賞レースでは最強クラスのルメール騎手ですが、「ダート」では、それほど優秀ではありません。

・ルメール騎手。ダート重賞レース⇒単勝回収率41%・複勝回収率87%

はい。
ルメール騎手は、仕掛けが遅いからか、ダート重賞レースでは、芝重賞レースのような高い回収率を記録できていない。

特に、ダートだと勝ち切れない状況が、データから見て取れます。



▼ただ、ダートでも複勝回収率は87%あるので、「ダートでは勝ちきれないが、2~3着には来る」というイメージで考えておくとよいかと思います。

ルメール騎手はダートだと、特に2着が多いので、「三連単や馬単の2着固定」も、面白い戦略になるかと思います。


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重賞レースを騎手で買うなら、どの騎手?

▼馬券の騎手買いについての考察を続けます。

では次に、もう1人の外国人騎手、Mデムーロ騎手について考えてみます。


・Mデムーロ騎手。芝重賞レース⇒単勝回収率90%・複勝回収率82%

はい。
まずまずの成績になっています。



▼ただ、Mデムーロ騎手の場合、成績にムラがあるんですね。

気分屋な面があり、好調期間は手が付けられない確変モード状態になりますが、ダメな時はまったくダメというタイプです。

参考記事
 ↓
Mデムーロ騎手の買い方



▼Mデムーロ騎手は、2015年から中央競馬の騎手になり、しばらくは回収率もかなり高い数字になっていました。

ただ、2018年頃から調子は下降気味になっており、回収率も平凡になっています。



▼それでも、狙えそうなデータもあります。

例えば、このようなデータ↓


・Mデムーロ騎手。ダート重賞レース⇒単勝回収率218%・複勝回収率138%

はい。
Mデムーロ騎手の場合、ルメール騎手とは逆に、ダート重賞レースでの成績が抜群に良いです。

単勝回収率218%は、驚異的。

勝率も高く、ダートだとしっかり勝ち切る印象です。



▼ルメール騎手は、仕掛けをじっくり待つタイプ。

なので、ダートだと勝ち切れないケースが多い。

Mデムーロ騎手は、積極的に勝ちに行くタイプ。

だから、先行有利になりやすいダートでは、成績が良くなるのかもしれません。



▼次に、日本人騎手も見ておきましょう。

例えば、この騎手↓


・川田騎手。芝重賞レース⇒単勝回収率90%・複勝回収率84%

はい。
川田騎手は、中央競馬の日本人騎手では、トップレベルの回収率を誇ります。



▼単勝回収率は90%で優秀。

しかも、川田騎手の場合は、「人気馬に乗って、しっかり結果を出す」という傾向にあるので、軸馬としても使いやすい騎手になります。



▼ダートの成績も見てみましょう↓


・川田騎手。ダート重賞レース⇒単勝回収率63%・複勝回収率108%

はい。
データのサンプル数が少ないので、単勝回収率については確率収束していませんが、複勝回収率の108%は非常に優秀。

川田騎手は、豪腕で追える騎手なので、腕力が必要なダートでも信頼できる騎手になります。



▼▼では次の騎手を見てみましょう。

競馬界のレジェンド、武豊騎手です。


・武豊騎手。芝重賞レース⇒単勝回収率69%・複勝回収率84%(2015~2019年)

はい。
競馬初心者さんなどは、武豊が一番上手い騎手だと思っている人も多いんですが、技術的な面で言うと、それほど上手いという印象はないです。

もちろん、スーパープレーを見せることもあるんですが、回収率という点から考えると、ルメール騎手や川田騎手の方が上手いということになります。



▼あと、武豊騎手の場合は、過剰人気になりやすいんですね。

あまりにも有名すぎて、名前だけで馬券が売れてしまう。

特に、競馬初心者さんが参戦してくるG1レースなどでは、武豊騎手の馬券は、非常によく売れます。



▼このような過剰人気もあり、武豊騎手はなかなか回収率が上がりにくい騎手だったりします。

回収率が上がりにくいという事は、儲からない騎手、ということです。



▼先ほど、武豊騎手の芝重賞レースでの回収率を見てみましたが、単勝回収率69%と、低い数字になっています。

単勝回収率69%では、単勝だけでなく、馬単や三連単の1着固定でも、利益を出すのは難しくなります。

馬券勝負するなら、少なくとも単勝回収率85%以上は欲しいところです。



▼武豊騎手の、芝の複勝回収率は84%と合格ラインです。

つまり、2~3着にはよく来ると言うことになる。

なので、武豊騎手を狙う場合は、2~3着づけにするか、三連複やワイドで狙うのが効果的であると言えます。



▼ちなみに、「ダート重賞レース」での成績は、単勝回収率72%・複勝回収率62%と、あまり狙えない感じになっています。

武豊騎手は、ダートでは積極的に狙いたい騎手ではありませんが、狙える条件もあります。

それは、

・武豊騎手。ダート重賞レース【単勝2.9倍以下】⇒単勝回収率105%・複勝回収率100%

はい。
武豊騎手は、ダートで断然人気馬に騎乗すると、非常に信頼できるということになります。

当たりが柔らかい武豊騎手は、強い馬の能力を引き出すのが上手いですね。

なので、穴馬で穴を開けるというよりは、断然人気馬でしっかり勝つ、というタイプの騎手です。



▼2015~2019年のダート重賞レースで、武豊騎手が単勝2.9倍以下の馬に騎乗した時の具体的な成績としては、

勝率50%・連対率80%

という素晴らしいものになっています。

なので、武豊騎手がダート重賞で断然人気馬に騎乗しているときは、無理に逆らわず、そこからの流し馬券を検討すると、回収率を上げやすくなるかと思います。



▼▼では次に、こちらも日本人騎手ではトップレベルに有名な、福永騎手について。

近年は、コントレイルで3冠を達成したり、日本ダービーをポンポンと勝つなど、大きいレースでの活躍が目立つ、福永騎手。

昔は、「福永祐一は下手」とよく言われていましたが、最近は手のひらを返したように、「福永騎手は一流」みたいな風潮になってきています。

では、福永騎手は、うまいのか?それとも下手なのか?

ちょっと考察してみましょう。



▼まず、重賞レースの成績を見てみます。

・福永騎手。重賞レース。単勝回収率71%・複勝回収率83%(2016~2021年)

はい。
過去5年半での重賞レースでの回収率を集計すると、上記のようになります。



▼単勝回収率は71%と、低めになっています。

この傾向は昔からなんですが、福永騎手は、重賞レースで2~3着が多いです。

ルメール騎手や川田騎手は、2~3着より明らかに1着が多いんですが、福永騎手は、1着2着3着の数が、どれも同じくらいになっています。

参考までに、「重賞レースでの着別度数」を見てみましょう。


ルメール騎手。89-60-35(1着-2着-3着)
川田騎手。63-41-42
Mデムーロ騎手。56-43-39
福永騎手。41-42-39



はい。
このように、通常は1着が最も多くなるんですが、福永騎手の場合は、2~3着が非常に多くなっています。

これは、よく言えば「安定的に馬券圏内に持ってくる」と言える。

逆に言えば、「勝ち切れない」と言えます。



▼なので、福永騎手を重賞レースで狙う場合は、単勝や1着固定で頭から狙うよりも、馬連や三連複の軸として、2~3着狙いにした方が、的中率と回収率が上がりやすくなります。

これが基本傾向ですが、ただ近年は少し傾向が変わっています。



▼福永騎手の重賞レースでの回収率を、年度別にまとめてみましょう。


福永騎手。重賞レースの年度別回収率データ

2017年⇒単勝回収率14%・複勝回収率51%
2018年⇒単勝回収率52%・複勝回収率59%
2019年⇒単勝回収率59%・複勝回収率95%
2020年⇒単勝回収率117%・複勝回収率83%
2021年⇒単勝回収率94%・複勝回収率96%



はい。
年度別にまとめてみると一目瞭然ですが、福永騎手は、2020年から単勝回収率が急上昇しています。

これまでは、「福永騎手は、重賞レースでは勝ち切れない」というデータになっていましたが、2020年からは、非常に単勝回収率の高い騎手に変化しています。

この傾向については、頭に入れておいた方が良いですね。



▼▼では次に、若手の有望株、横山武史騎手について見てみましょう。

横山武史騎手は、横山典弘騎手の息子で、横山和生騎手の弟になります。

2021年から、重賞レースで急に活躍をし始め、すごい勢いで有力馬が集まるようになっています。

未来のトップジョッキーとまで言われる、横山武史騎手。

彼は馬券的にも儲かるのか?分析してみましょう。


横山武史騎手。重賞レースデータ】2017~2022.3

単勝回収率61%・複勝回収率45%

はい。
横山武史騎手が大活躍した2021年を中心としたデータは、上記のようになります。



▼彼は、2021年に、エフフォーリアを始めとして、タイトルホルダー・キラーアビリティなどでG1を勝ちまくり。

一躍、その名を轟かせましたが、回収率だけを見ると、それほど高くない。というか低い。

横山武史騎手は、大きなレースで活躍するので、非常に目立ちますが、重賞レースでひたすら横山武史騎手の馬券を購入していても、なかなか回収率は上がりにくいということになります。



▼ちなみに、彼が重賞レースで大活躍した2021年のデータに絞り込んで見てみましょう。

横山武史騎手。2021年の重賞レースデータ

単勝回収率100%・複勝回収率48%

はい。
2021年の横山武史騎手は、重賞レースをめっちゃ勝ってた印象ですが、確かに、単勝回収率は100%と優秀。

ただ、複勝回収率は48%しかありません。

なぜこのような差が生まれてしまうのか?



▼横山武史騎手の複勝回収率が低い理由として、

①「5番人気以下の馬で活躍できていない」
②「勝つか惨敗か、というレースをすることが多い」


この2点が挙げられます。



▼まず、横山武史騎手は、重賞レースで騎乗する場合、1~4番人気で結果を出してきています。

具体的な数字を出してみると、

横山武史騎手。重賞レース1~4番人気データ

単勝回収率170%・複勝回収率101%

という感じで、上位人気馬では素晴らしい成績になっています。



▼それに対して、5番人気以下の人気薄での成績は、

横山武史騎手。重賞レース5番人気以下データ

単勝回収率0%・複勝回収率13%

という感じで、ボロボロの成績になってしまっているわけです。

このことから、横山武史騎手を重賞レースで狙う場合は、1~4番人気の時に積極的に狙い、5番人気以下の時は、切ったり賭け金を下げたりするのが、現状では有効な馬券戦略になるかと思いますね。


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